弁護士ブログ(日々の出来事)

2013年5月14日 火曜日

クールビズの始まり

 昨日(5月13日)月曜日からクールビズ(本当は微妙に違うと思うが、要するにネクタイをしないことと考えることにする。)を始めた。
 
 以前は6月1日からと言われていたのが、2年くらい前からか、5月1日からの前倒し実施となっている。私の住む福岡ではゴールデンウイークから結構暑かったが、なかなかクールビズ(実際はネクタイをしないだけ)にはならなかった。先週は役所の人が職場の関係でそうしているという感じだった。それが、今週からはどっと増えているような気がする。個人的には、クールビズ(ネクタイを締めない)にするには、やはり夏服になってからでしょうという思いがあって、朝晩が結構冷たかった先週はクールビズとはいかなかった(普通の冬服のスーツにノーネクタイというのはできれば避けたいと個人的には思っている。)。
 
 夏服にネクタイをしないというのは快適である。それに、日向たを歩かなくなった。やはり、人間の体は、気候の変動に敏感である。週末には、ファンヒータを片付けよう(今回は、弁護士とはまったく関係のない内容となった。)。
 
 なお、役所の一つである裁判所ではクールビズが始まっているので、裁判所に行かれる方もネクタイの必要はまったくありませんので気にされないように。

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2013年5月12日 日曜日

川嶋教授の民事訴訟法(新刊)

 川嶋四郎同志社大学教授の民事訴訟法に関する著者が2冊刊行された。1冊はその名も「民事訴訟法」という体系書である(日本評論社)。もう一冊は「民事訴訟法概説」(弘文堂)という法学部や法科大学院での授業で使われるのではないかと思われる教科書である。
 
 体系書の方は本文972頁という厚い本であり、現在の民事訴訟法に関するほとんどすべての論点について検討が加えられている(川嶋教授の関心対象である民事訴訟、民事執行、民事保全の過程を全体として手続利用者である当事者が弁護士や裁判所という高質なサービスを受けながら手続過程に現れるかという視点に基づくものである。)。
 
 川嶋教授は、同志社に移られる前、九州大学に在籍されており、その当時から親しくさせていただいていたが、その後、福岡県労働委員会公益委員として、1年半ほど前まで公益委員会でもご一緒させていただいていた。当時から、民事訴訟法の体系書を書くようにとお話しをしていたところであり、民事訴訟法の新しい体系書の刊行は多くはないので、その点でも非常に嬉しい。
 
 実は、まだ、訴訟事件と非訟事件の関係、陳述書など、いくつかの項目しか読んでいないが、それぞれ詳細かつ丁寧に論じられており、大変参考になった。なお、難読漢字(熟語)にカナが付られている点も有り難いと感じる読者が多いと思う(今さら他人に聞けないことである。)。

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2013年4月20日 土曜日

保全事件はどうなっているのか

 保全事件、特に仮差押え事件減っているといわれている。東京地裁(本庁)での概況が示されている(金融法務事情1967号H25.4.10号)。どのくらい減っているのかというと、不動産の仮差押えが、平成20年の2092件に対して24年では1244件に減少している。債権仮差押えは1667件(H20年)から1327件(H24年)に減少している。
 

 もともと債権仮差押えは債務者に与える影響がが大きいので対しる不動産仮差押えと比べて要件が厳しいので、あまり活用されていないと思われるが、それにしても仮差押え事件は少ないように思われる。原因は、不動産仮差押えについては、抵当権が付されていない不動産が少ないこと、抵当権が付されている不動産の場合、不動産価格が低迷していることから、抵当権が設定されている不動産の余剰価値(評価額から設定額(極度額)を差し引いた場合に余剰が認められないことなどが考えられる。

 地方と異なり特に東京地裁の管内のようにほとんどの不動産が担保物件として認知されているところでは少ないのかもしれない(地方の場合は、未だ抵当権の付されていない不動産があって、相続が開始したような場合に、相続人の債権者が仮差押えをするというこtがあるかもしれない。
 

 保全事件のうち、仮処分もやはり少し減少しているようである。東京地裁での不動産に関する「係争物に関する仮処分(占有移転禁止や処分禁止の仮処分)」の件数は、平成20年767件、平成24年712件と少し減少したという程度である。係争物に関する仮処分は、まさに不動産に関する紛争の発生を前提とするものであるが、東京地裁(本庁)の管轄内でそもそも年間700件台ということが、少し少な過ぎるのではないかとも思う。不動産取引を巡る紛争が少ない、すなわち取引全体の量が少ないということであろうか。
 
 

 仮処分でのもう一つとして「仮の地位を定める仮処分」がある。これついては、紛争形態がさまざまであることから、いろいろな紛争が仮処分の場に持ち込まれる(工事の騒音がうるさい、日照権侵害などの理由による建築工事差止め、営業妨害事件や労働事件などで問題となる面談強要禁止、街宣活動禁止、解雇や解職された場合の地位保全ながある。

 平成20年436件、平成24年116件と増えているが、増えているのは、インターネット関係での発信者情報開示、投稿記事削除、発信者情報消去禁止(発信者情報禁止仮処分は、名誉棄損や営業妨害となる書き込みがあった場合に将来の損害賠償請求訴訟の前提としてその書き込みをした者を特定する必要があることから、メールアドレスなどのその発信者情報の削除の禁止を求めるもの)。これらの3分野を合わせて、平成20年では35件だったものが、24年では736件となっており、仮の地位を定める仮処分の20年から24年までの増加分約700件のほとんどを占めている(つまりこれらを除く仮処分事件は増えていないことになる。)。

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2013年4月16日 火曜日

株主の総勘定元帳、勘定科目内訳書の閲覧請求

 株主(総株式の100分の3以上を保有する株主)は、株式会社に対し、会計帳簿等の閲覧又は謄写を請求できる(会社法433条1項、2項)。株主にこのような会社法上の権利が「被保全権利」として認められる以上、仮処分では、「保全の必要性」があれば、そのような閲覧・謄写を申請できる(民事保全法23条2項)。小規模閉鎖的会社の場合、相続が絡むとその点が問題となる場合がある。名古屋地裁H』24.8.13決定(会計帳簿等の閲覧謄写仮処分命令申立事件(判時2176号63頁)。

 これらの仮処分は、その後の株主代表訴訟などの訴訟の提起のために行われる場合ガ多いが、仮処分が認められれば、帳簿の閲覧・謄写ができるので、会社法433条の内容が実現されるという意味で満足的仮処分と言われ、大きな紛争となる。
 

 決定は、①株主名簿に付き、会社に対する配当請求の前提として、取締役の責任追及の前提とするものであり、被保全権利性を認めたうえで、保全の必要性につき、代表取締役に弁護士の職務代行者が選任されているとして(その者から見せて貰える)、保全の必要性が欠けるとした。
 

 ②勘定科目内訳書については、法人税の確定申告の際に必要な書類であり、会社法の定める計算書類(及びその附属明細書)に含まれない(つまり会社法上の請求権が及ばない)として、被保全権利ではないとした。
 

 ③総勘定元帳及び総勘定元帳を作成する際の資料となる契約書、信書、請求書、覚書、領収書、発注書、納品書、請書等については、「会計帳簿又はこれに関する資料」として、請求目的が、会社の代表取締役が多額の現金を持ち出していることに対し、取締役の責任追及を目的とするもであるとして、被保全権利性を認め、保全の必要性についても、会社資産を他の会社に移そうとしている事実から、肯定した。

 この問題は、ラ楽天対TBS事件でも問題となったが(東京地裁H19.6.15決定、控訴審は東京高裁H19.6.27金融商事判例1970号)、そのような大企業でhなく、相続が絡む閉鎖的会社でも問題となる事件である。
 

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2013年3月31日 日曜日

債権執行は?

 前回、破産に続いて、東京地裁と大阪地裁での不動産競売まで進んだ。そうなると、皆さんも、残る債権執行がどうなっているのか、気になるところであると思う(?)。これも24年(1月から12月まで)の東京地裁と大阪地裁の状況である(金融法務事情1966号)。
 

 数字を挙げる前に確認だが、債権執行とは債権差押の意味である。つまり、判決や和解調書あるいは公正証書を得たが、相手(債務者)が任意に支払をしてくれない場合に、裁判所を通じて、相手(債務者)の持っている債権(例えば、銀行預金、企業なら売掛金債権、個人なら勤務先に対する賃金債権な)を差し押さえるということである。債権執行とは、裁判所から銀行や売掛金先、勤務先(これらは総称して第三債務者と呼ばれる.)に対して、債務者への支払いを止め、その後債権者へ支払うようにする手続きである。

 東京地裁では、平成15年1万1392件、20年1万3728件、24年1万1257件であり、大阪地裁では、15年7741件、20年6735件、24年7839件とどちらも年度による変化は大きくない。それより東京で1万件を超えるぐらいという数字が意外と少ないと感じられるのではないかと思う。実は、債権執行申し立ては決して楽な手続きではない。最高裁の平成23年の判決により、差押える債権が銀行などへの預金債権の場合、単に銀行名だけでなく、支店名まで記載する必要があるとされ、また、それぞれの支店ごとに債権額を割り付ける必要があるからである。

 個人の場合はそこまで知ることはほとんど難しく、会社の場合も取引先銀行の支店名まで調べる必要があるからである。債権者にそのような情報を調べる義務がるするのが、基本的な考え方だからである(この考えが、現代社会でも通用するのかどうか議論のあるところである。)。
 

 債権執行の申立て件数は、裁判所での判決や和解調書の数と比較すると相当に少ないと思う。そうなると、結局、判決をもらっても紙切れに過ぎないという話にもなる。裁判制度の中で、それで良いのかどうか、改めて考える必要がある。そういう意見が増えていきそうである。
 

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