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不動産の問題

不動産にかかわる問題には、 ①不動産を売買する ②不動産を賃貸・賃借する ③不動産(建物)を新築あるいは増改築する ④不動産の新築あるいは改築工事を請負  というようにいくつかの問題があります (これ以外にも隣地との境界の問題や、建物を建てるための銀行などからの借り入れの問題など、たくさんの問題があります。)。

売買

売買

 土地や建物の売買は、重要な財産を売り買いするという問題ですので、売買契約書をきちんと作るということが大切です。
でもその前にやるべきことがたくさんあります。

(あなたが不動産を売りたいと思っている場合)
 まず、土地や建物の状態を正確に知っておく必要があります。これは、買いたいという希望者にその土地や建物についての重要な情報を正確に伝えるという必要があるからです。どういうことが重要な情報なのか、相手に知らせなければならないのか、ということについて信頼のできる不動産業者を選ぶ必要があります(もちろん、私たち弁護士もそのアドバイスはできます。)。どのくらいの金額が適切なのかも知る必要があります。

 重要な情報にどのようなものがあるのかは、決まっています。どのような不動産なのか(道路との関係はどうか、隣地との境界きちんと決まっているのか、行政法規上の規制はどのようなものか、そもそもその土地の権利関係はどうなのか(所有者は誰か、担保権の設定はないかなど)を正確に知らせる必要があります。

(あなたが不動産を買いたいと思っている場合)
  土地にしろ、建物にしろ、不動産は高額の買物です。ほとんどの場合は、ローンを組んで買う必要があります。そのために、まず、自分たちがどのような不動産を必要としているのかを十分に検討する必要があります。住宅として自分が住むために買うのか、その住むというのは何時のことなのか、家族が増える予定なのか、将来は減るのか、そこには永住するつもりか、などいくつかのことを自分で考える必要があります。仲介業者(いわゆる不動産屋さん)を入れている場合は、その説明が正しいかも確認しなければなりません。もう一つ、銀行からのローンの問題も、借入学、金利、返済期間、返済額を、自分の収入とも考えながら決める必要があります。そして、場合によっては、背伸びをせず、次の機会まで待つというがまんも必要になります(その前に冷静さが大切です。)。

 アパートやテナントビルの売買の場合も同様です。この場合は、高額の銀行からの借り入れが必要になりますし、税金の問題も考えなければなりません。

不動産の売買についての問題は、まさに法律問題のかたまりと言っても良いものです。
トラブルになった後は当然ですが、トラブルになる前でも、弁護士に相談したほうが良いことがたくさんあります。

賃貸借

賃貸借

 不動産の賃貸借も、売買契約と同じように非常に重要な契約です。契約の内容がどのようなものかが大切になります。ただ、居住用の住宅、店舗、事務所などのように人が利用することを前提とする不動産についての賃貸借契約の場合は、契約した内容がそのまま有効な内容といsて認められるかというとそうではありません。賃借人の保護という要請が働くからです。民法の定める賃貸借契約の内容が、借地借家法などの法律で変更されています。しかもそこでの内容は、ほかの契約の場合と違って、賃借人に不利な内容の合意の効力が認められない場合が多いのです。

(不動産を貸す場合)
 借りるから、契約書の内容を確認することが必要です。ただ、建物を建てることを目的とする土地の賃貸借契約や人が居住することを目的とする借家契約の場合は、借地借家法により賃借人が解除の場合など契約書の文言より保護される場合があります。例えば、賃料の支払いが遅れた場合は直ちに契約を解除できると定めていても、裁判で実際に解除が認められるのは、数か月分の家賃の支払いがないような場合に限られます。遅れながらでも毎月家賃が払われている場合は、裁判所も解除をあっさり認めるというより、和解を勧めてくる場合がよくあります。

 そのうえ、住居の賃貸借の場合は、消費者契約法の適用が考えられます。この場合は、さらに賃借人が契約書の文言より保護されることがあります。敷金、中途解約、契約期間の満了の場合の契約更新、原状回復の内容など、住宅と店舗の場合では契約内容に違いがありますので注意して下さい。
 なお、保証業者を入れて契約する場合もありますが、この場合は、保証期間が短い場合がありますのでその点も注意してください。

(不動産を借りる場合)
 不動産を借りる場合には、周囲の環境に注意する必要があります。家賃や敷金などについては、今の契約書はかなり詳しく書かれるようになっています。しかし、周囲の状況や集合住宅の場合の隣人、上下の階の人については、契約書には書かれていません。そして、その点で、転居しようと思っても、今度は中途解約の場合の特約のしばりが大きくなっています。敷引き特約や数か月分の家賃の支払いが定められている場合があります。

ビルの一括借受や賃料保証などの不動産会社や保証会社との間での新しい問題も生じています。

登記(所有権移転登記や抵当権設定登記など)

登記(所有権移転登記や抵当権設定登記など)

●不動産を建てる(当初の計画がとても大切です。)
 

 ビルやアパートを建てるということは資産形成のためにも大切なことです。どのようなビルを建てるのか、どのような用途のどのようなグレードのビルを建てるかは、設計を行う建築家とともに悩まなければならない問題です。建築物によっては、建築基準法や消防法などの色々な規制を受けたり、補助を受ける場合もあります。このような規制に従いながら、より良い建物を建てるということは、施主としての大きな楽しみのようです。
 実際に建物を新築したり、大規模な改装工事を行う場合は、設計をきちんとしてもらう、建設会社にも建築工事や改装工事をきちんとしてもらう、という問題があり、さらに銀行からその資金の融資を受ける、という問題があります。ビルを建てるというのは、施主にとって、図面から出来上がった状態をきちんと想定することになかなか難しいことです。完成した建物が予想とは違っているということも決して少なくありません。

 法律的な問題として、どのようなことが考えられるでしょうか。
 設計事務所との関係が問題になるでしょう。設計図自体が建築基準法などの法律に違反していないことが前提になり、それが違反している場合には設計事務所との間で設計契約違反という問題が生じます。

 建設会社との関係(工事請負契約)
 建設工事会社との関係で建築請負契約が結ばれているので、建物が設計図面どおり作られていないとすれば、請負契約違反という問題が生じます。いずれにしても、重大な法律問題が生じることになります。また、工事の場合、当初予測されていなかった地盤の問題や予想外の追加工事が必要となることもよくあります。そしてそのような地盤改良工事や追加工事の費用の発生をどのように考えるかという問題があります。この点も最初の契約に含まれているかどうかがよく争われていますが、やはり契約の解釈という法律問題になります。

  このように、不動産を巡っては色々な問題が生じますし、そのどれもが決して小さな問題ではありません。争われる金額も決して小さくはありません。損害賠償が高額の訴訟になる可能性があります。また、数多くの関係者が係わりあうことになりますので、誰にどのような責任があると考えるのが良いのか、そして、きちんとした建物を残すにはどうすれば良い解決になるのかを、冷静に考える必要があります。そのような場合には、専門家の一人として、弁護士にご相談されることが必要だと思います。

(不動産の登記手続も大切です)


不動産を取得した場合は、登記手続を行うことも忘れることはできません。
銀行で購入資金を借りた場合は、銀行への抵当権の設定登記が必要になります。

手付金を支払ったときではなく、残金と引き換えに売主が所有権移転登記に必要な書類を引き渡し、司法書士の手で所有権移転登記手続が行われるのが通常です。
残金支払と同時に所有権移転登記手続が行われない場合は注意が必要です。
売主が登記手続きに応じてくれない場合、買主だけで登記手続はできません。この場合は、最終的には裁判で争わなければならなくなりますので注意が必要です。
なお、手付を受けとった時点で停止条件付所有権移転登記手続を求められる場合があります。それは、買主の権利を保全するために俳味がありますが、手付金だけで残金が支払われず、手付流れとなった時に仮登記だけが残るという面倒な事態になります。当期手続きは、双方の当事者による共同申請が前提ですので、相手が協力してくれない場合(例えば抹消登記手続きに応じてくれない場合は、仮登記の抹消の場合でも裁判所による判決が必要になります。注意してください。