判例紹介

2017年11月25日 土曜日

今週の1週間(11月20日から24日)

 11月20日(月曜日)午前中は、高裁の弁論準備期日。土木に関する訴訟で1審では全面敗訴で当方が1年前に控訴。高裁では、1回結審の可能性もあったが、弁論期日に引き続いて同日に行われた主任裁判官による弁論準備期日の後に、当方から専門家の意見書をそえた証拠提出をするということで、次回期日の決められ、その後、主任裁判官の移動や専門委員(原審でも専門委員が選任されており、高裁でも専門委員が選任されるのは珍しいことではないかと思う。)が選任されるなどで時間がかかっている。だんだん争点がずれてきているような気がする(はっきり書けば、相手方の主張や証拠提出が少しずれてきており、その提出が期日直前(当日など)なので、裁判官もうまく議論の整理ができない(当然、こちらからの反論もできない。)。このままでは高裁で漂流する可能性も出てきたように思い、反論だけではなく、事件全体についてまとめたそれなりの準備書面を書かなければならないと思う(反論だけでなら1週間で書けると裁判所には言ってしまったので頑張らなければならない。)。
 昼はRCで、その後、4時からは日弁連民事裁判委員会が来年3月29日に行う民事訴訟法施行20周年を記念したシンポの準備会(TV会議)に出る。あと4ヶ月程度しかないので、シンポで議論してもらう項目やスタンスなどを検討する。20年間の時代の流れ、民事裁判あるいは弁護士の増大による変化など少し社会の変化も取り入れたテーマ設定など検討する。その後、事務所に戻って少し作業をする。そう言えば、今日は私の何回目かの誕生日だった(なお、お祝いは少し前にやってもらっているので心配はしないで欲しい。)。

 11月21日(火曜日)朝は、歯科医によって、その後、事務所でいくつかの打ち合わせ。どうしても明日までに出したい訴状が2通あって、月曜日に事務局に回していたが、事務局からのダメ出しがあって、手直しを並行して行う(文章の意味が通じない点や、どうしても、独りよがりの文章になっているので、分かりやすさを検討してもらっている。)。1通は請負契約に関する16頁の訴状なので、どうしても分かりにくいところや、最初から甲35号証までつけているので、証拠との対応など分かりにくいところが出てくる。証拠説明書も作るが、その説明内容等の検討も行う。午後は1件交通事故の相談で、マンション内の駐車場での事故で監視カメラの画像を見る。一方方向からのカメラのため(奥側から進行してくる車と横から出てきたバイクとの事故のため、四輪車の方の進行距離がつかめず、速度が分からない。このため何回か映像を見返すが結構時間がかかる。
 夕方からは、裁判所で弁護士会との民事手続協議会に出席。福岡地裁にも建築訴訟の集中部ができたことから(正確には調停部であるが実質的には集中部である)、調停を併用した事例発表となる。確かに適切な専門家調停員を用意できればその利用は有用だろうと思う。その後懇親会。その中で事例発表となった事件の代理人と話をする。事件自体が、改築工事であり、そのため当初の図面がほとんど作成されないままの工事の進行であって、当初の予算を超えた工事がされたと解するのか、当初の予算は工事内容も決まっていない段階のものであって、契約内容が固まっていたとは言えないと考えるのかで相当に違うものとなる(新築の場合は、建築確認申請の際の図面があるのでそういうことは少ないのであろうが、それでもやはり設備や備品について当初の金額に含まれているかどうかが問題となる場合があろう。)。ただ事例発表がされた事案では、必ずしも早い時期から調停に付されているわけでは無く、争点整理に少し時間をかけている。当該担当裁判官に尋ねたら、建築士の場合も、木造、コンクリート造などいくつか専門に分かれていること、有能な建築士を争点整理を含めた長い期間を拘束するわけにはいかないという事情によるもののようである。

 11月22日(水曜日) 今日は、昨日から掛かってたどうしても出したい訴状の準備をする。事務局から手直しをした方が良いという意見が出た(ダメ出しが出た)箇所を書き直す。合わせて、手の抜きがちな証拠説明書の記載もかなり手直しをする。午前中いっぱいと午後もかかり、4時過ぎの訴状提出となる。そのほか、午後には弁論に出る。労働委員会が被告となる救済命令事件(労働行政事件)。私は労働委員会会長なので、処分行政庁の代表者ということになる。そのため(?)、当事者席ではなく傍聴席に座って傍聴する(代理人弁護士は、規約により弁護士である公益委員が務める。)。期日は無事に終了した。
 夕方からは、月曜日に1週間で提出しますとミエを切った準備書面の作成に取り掛かる。当初は、3枚程度で良いかなと思っていたが、やはり、1審からの全部の書面と証拠それに原審判決をもう一度読み直して、それなりの量になることを再確認する(どのような意味を持つ準備書面を書かのかについて、もう一度検討することになる。)。その後、前日接見依頼のあった事件の件で、接見に行って、その後、家に帰る。

 11月24日(金曜日)午前中の予定がキャンセルになったため、昨日の続きの準備書面を書く。途中で電話や証人調べなどで何回か中断させられたが、夕方までかかって8枚程度の書面とした(夕方になったので、事務局でのチエックは月曜日になる。)。午後は証人調べ。交通事故で当事者2名の本人尋問。双方とも20分程度の主尋問と反対尋問。交通事故なので、当然事故の状況を完全に覚えているということはない。物損事故で双方の過失割合が争点となる。警察の作成する物件事故報告書の事故状況図は、縮尺も距離の記載も無いので良くわからない。双方2車線の信号機のある大きな交差点で左折車と右折車が、左折車が最初から2車線目に入ろうとして、その2車線目で右折して2車線目を進行してきた車と接触したという事件で、交差点内なら右折車の過失が大きく、それが交差点外で左折車が第2車線を進行する右折車に接触したとなると車線変更の問題となり、左折車の過失割合が大きい。交差点内かその後の走行中かという判断になるが、判断は難しい(少しの違いでそこまで過失割合が激変するのもどうかと思う。)。
 午前中からの作成していた書面を書き終わって。警察署に接見に行く(朝、接見依頼があったのと、26日が再勾留の満期のため、24日には検事調べがあった可能性が高かったので、その結辺りを聞く必要があった-結果からいえば、拘留されていた事件では処分保留で釈放されたが、同時に全く別の事件で再逮捕されたということである。)。この日は金曜日だったせいか、接見に来ていた弁護士が多く、少し待たされるとともに、私も後から来た弁護士を待たせた結果になった。今週は、これでお終い。


 

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2014年3月 2日 日曜日

司法書士の訴訟活動と弁護士法72条、民訴法54条(富山地判H25.9.109)(判例時報2206号111頁)

事件は、訴額が1000万円を超える過払金請求事件である。司法書士Aは、原告の過払金請求訴訟の訴状や準備書面などの書面を作成押印し(準備書面はAの事務所からファクシミリで被告代理人に送信されている。)。期日には原告を出頭させ(Aは傍聴)、弁論準備期日には裁判所が傍聴を許さなかったようである(和解はしないように原告に指示していたようであリ、その点は判決文に明示されている。)。最終的に原告には弁護士が付いていないが、裁判所は当事者の主張などについて、かなり詳細な事実認定を行っている。
 
 

 被告は、Aが原告の実質的な代理人であるとして、弁護士法72条違反であり、弁護士代理を定める民訴法54条1項により訴え却下を求めていた。なお、原告は、Aの訴訟追行という認定がされた場合を考え、Aの訴訟行為を追認している(追認が有効かどうかも争点となっている。)
 

 裁判では、弁護士法72条と民訴法54条1項違反が問題となり、裁判所は、弁護士法72条の趣旨は、専門的法律知識に基づいて作成される訴状答弁書などの書面の内容については司法書士の権限の範囲外であるとし、さらに、Aは過払金返還請求訴訟の依頼者が過払金に関心があり、そのプロセスには関心が低いことに着目し、地裁事件では弁護士法72条いはんとなることを認識しながら、依頼者からの依頼を受けていたとし、本件訴えが民訴法54条1項に違反し無効であるとするとともに、Aを送達場所及び受取人とする届出も無効とした。
 

 また、原告による追認についても、受任者が弁護士でないことを知りながら委任した当事者が追認を認められないことの不利益を受けることを甘受することも適切であるとした。

 この裁判は、控訴が無く確定している。原告とすれば、過払金の一部に消滅時効が完成する部分があった場合に不利益を受ける結果となるが、権利自体がまったくなくなるわけではないので、弁護士を付けて改めて訴えを提起することは可能である。

 この司法書士がどのようなパーソナリティの持主人なのかは不明であるが(和解に応じない姿勢を示すなど)、判決文の記載からは、富山地裁では有名人だったのであろう。
 

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2013年11月 4日 月曜日

非監護親による監護親に対する面会交渉の間接強制(最1小決25・3・28)(判タ1391号122p)

 決定そのものを見ることができなかったが、ようやく、判例雑誌でみることができた。平成18年1月に生まれた女子についての面接交渉が平成24年5月に審判が確定した事案であり、面接交渉が認められた父が、同年6月に面接交渉を求めたところ、母が、女子(6歳 小学校1年か)が会いたくないと言っているということを理由に面接交渉を拒絶したことに対して、母親に対する間接強制(面接不履行1回につき5万円)を求めた事案である。

  面接交渉の具体的内容が定まっている場合において、「子供が合いたがらない」というkとを理由として面接交渉が拒否された場合、ことがらの性質上、直接強制が認められないのは当然として(代替執行も問題にならないのは当然である。)、間接強制が認められないとする理由は乏しかったように思われる。

 ただ、問題は、面接交渉の内容の具体性がどの程度あればよいかという問題と、子供の心理を考えて、どの程度まで行けば、やはり当初の面接交渉権の行使が認められなくなるかという点である(後者の場合は、新たな面接校交渉権の内容の変更などの別個の審判の申し立てが必要となるかもしれない。)。
 前半の具体性については、①日程(月1回、毎月第2土曜日の10時から午後4時で父の自宅以外の父の指定する場所)、②面会交流の方法(受渡場所は、母の自宅以外で協議して定め、協議が整わない場合はJR札幌駅東口付近とする。)で引渡す。)、③やむを得ない事由により面会交渉ができない場合は代替日を設ける、などの点が定められていた事例である。

 離婚に際伴う面接交渉については、親権者が一方の親に定められるべきではなく、離婚後も共同親権ということを考えるべきであるという意見がある。この考えからすれば、非監護親による面接交渉もできるだけ認められるべきであるということになり、面接交渉の内容についても具体的に定めるべきでるという意見が強くなり、そうなると間接強制の申立てが増えると予測される。他方、子供は親の顔を見ているので、非監護親に会いたくないという子供も多いように思われる(その気持ちは本心からの場合が多い。)。

 やはり、面接交渉の内容を定める場合の問題なのであろう。


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2013年10月26日 土曜日

コンビニでのクリーニング取次契約(東京地判H25.1.21)(判例時報2102号53p)

 コンビニでのクリーニング取次サービス契約を契約期間満了時に更新しなかったコンビニストア本部に対して、仕組みを共同開発した相手方への契約終了に伴う損失補償義務があるとされた事例である。

 コンビニでのクリーニング取次サービスが、新たなビジネスチャンスになると考えた事業主が、クリーニング受付ボックス、引き渡しボックス、専用のバッグ、従業員用のマニュアルなどの開発にコンビニ本部と共同で開発にあたったところ、予想通りの利益がでないことから、契約期間満了時にコンビニ本部から、契約終了を通告されたことから、その契約関係の存続などを求めて訴訟が提起された事件である。

 裁判所は、両社間の継続的取引関係の終了を認めたものの、損失補償を認めた。解除(契約不更新)を有効とする以上、損害賠償の問題も生じないが、共同開発事業の研究、ノウハウの蓄積が、コンビニ側に認められる(開発事業者側は、別のコンビニと同様の事業を始める場合は、そのコンビニに適合させるために最初から開発行為の時j行会派うt者などの点で利得がコンビニ本部側に集中する。)。

 このような当事者間に格差があるため、契約終了時における過去の成果の配分い著しい不平等が生じる場合は、民法248条(符合によって所有権を失った者に生じる償金請求権)、民法656条1条(委任契約における相手に不利な場合の解除n解除での損害補償の法理)から契約関係を合理的に解釈して、償金請求が可能であるとした。

 そっして、実際の償金学の算定では、さらに6年でその事業が終了する(原価償却と同様に考える)と考えられるとし、直近の年の利益の半分の金額の6年分を損失補償額と認定した。

 この損失補償を認めた判決に対する評価は分かれるであろう。この法理が認められる場合があることは考えられるが、どのような場合がこrねい当てはまるのか、主張する側はどの程度の事実を主張しなければならないのか、他方、相手方は原告の主張にどの程度対応していけばよいのかなど、とても難しい裁判例となっている。、
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賞金請求の趣旨ものン牛なた、不動お湯な関係そうすると、数r、

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2013年10月20日 日曜日

中古不動産の売買契約で、契約後地震により生じた毀損を売主が修復して引き渡すべき義務を履行しないことについて、売主に帰責事由がないとされた事例(東京地判H25.1.16)(判例時報2192号63p)

 東日本大震災の前に中古不動産の売買契約を結んでいたところ、その引渡し前に、液状化によって建物が傾いたケースで、引き渡し前に天災地変により生じた毀損について売主が修復して引き渡す旨の特約があった場合の問題である。
買主が、引き渡し受領後に、売主と仲介業者を相手に損害賠償請求訴訟を提起したという事件である。

 特定物に関する売買契約整理後、その引渡し前に生じた毀損については、債権者主義から買主が危険を負担するのが原則であるが、債務者(売主)が修復して引き渡すという特約があった場合である。この論点だけを考えると、買主は修復請求ができるだけであり、せいぜい修復義務の不履行がある場合にどの程度の損害賠償が可能かという問題になるかと思うが、何らかの事情で、売買代金相当額の損害賠償を求めたのであろう(判決文からは、震災後、買主からの問い合わせに対し、売主が毀損はないと答えたようであり(その後の市お調査で半壊程度と認定されている。)、その回答で買主が不信に陥って全面的な損害賠償請求となったのかもしれない。)。

 買主の請求は、売主に対して、①液状化の毀損を知りながらその事実を告げなかったのが債務不履行または不法行為となるとするもの、②予備的❶として引き渡しまでは手付解除が可能だったのにその機会を奪われたこおtによる損害、③予備的❷として仲介業者に修復費用を求めたものである。

 この裁判では、結局、売主が液状化による毀損を知っていたのかどうかの事実認定の問題になっており、それが否定されると(引き渡し時までその事実を知らなかった)、主位的請求、予備的請求❶は成立せず、仲介業者に対する予備的請求❷の成立も難しいことになる。

 判決文からすると、引き渡し後、売主は修復の申し入れをしたが、買主と売主との間で液状化に対する工事内容で合意に至らなかったようであり、売主の提案がそれなりに合理的なものであるとすれば、修復義務の存在を前提としつつも、その特約の前提となる売主の修復義務に関する債務不履行は認められにくいということで買主側の請求は全部棄却となった。

 実際は、液状化に対する合理的な修復方法に一定の合意があれば、和解などで早期に解決するケースなのではないかと思うが、将来に向けての完全な修補を求める側と低廉な相応な修補で足りるとする側との間での合意は難しいところであろう(なお、控訴審で和解が成立しているようである。)。
 

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