弁護士ブログ(日々の出来事)

2017年4月29日 土曜日

今週の1週間(4月24日から28日)

 4月24日(月曜日) 今週末から長いゴールデン・ウイークに入る。ということは、まじめに作業をする5日間ということになる。比較的月曜日は余裕がある。先週26日が勾留満期の刑事事件を引き受けた。ということは25日には基本的に処分が決まるということなので、処分についての意見書を月曜日中に出すことになる。被害者との示談書作成が、金銭の支払条項はないものの、違約した場合に1000万円を支払う、という約定を入れてもらわなければ合意できない、その内容を入れなければ、加害者(念のために言えば、治療費などの現実的損害が祖生じた事件ではない。)が、再びこのようなことを繰り返すつもりであるとしか思えない、という。弁護士としては、行為と釣り合わない内容を含む示談書を交わすことには納得できないので示談書作成はあきらめ、検察官にはその経緯を説明することで、対応しようと思う(加害者には、前科前歴はない。)。そのための意見書の作成となる(当然、検察官には経緯の説明に赴くことになる)。ところが、担当検察官は出張で一日不在。午後は、RCへ。事務所に戻って、明日の午後の労働委員会での審査事件の審問の準備をする。その後、1期下の弁護士のお通夜へ(正確には、通夜の前に弔問する。)。その後、RCのテーブル会に出る。

 4月25日(火曜日)午前中は、午後から予定されている労働委員会の尋問の準備やその他の作業で終わる。午後は、労働委員会の尋問。1時からの事前の打ち合わせから始まり、5時近くまでかかる。労働委員会での審問(裁判での人証調べとほぼ同一)では、組合側に弁護士がつけられていない場合が多く、尋問は、組合員が行う場合が多い。無論、そういう場面を何度も経験されているベテランの組合員による尋問は、場数を踏んでいるせいか、結構上手な人もいるが、弁護士の立場からすると、尋問なので、事実についての質問にしてほしい、ということを言いたい場合が良く出てくる。また、時間の点でも予定時間をオーバーする場合が多い。また、会社側の弁護士からすると、異議を言いたい場合が多いと思う。組合も尋問前の陳述書の提出は比較的守られているように感じるし、陳述書も結構キチンと書けているように思う。そのためかどうかは不明だが、主尋問の場では、陳述書によりかかった尋問が多い。ただし、使用者側証人に対する反対尋問は、やはり、労働問題に深く係わってきた人らしい尋問になりがちである。どうしても、自分の意見に対する答を引き出そうとするような尋問になりがちだし(この結果、質問の前提についての発言部分が長く、このため質問が長くなり、質問が何についてのもので、どのような回答を求めているのか分からなくなる場合が散見される。)、また、全体的に労働問題に対する会社側の無理解、労働基準法などの法律に違反していることを認めさせようとする尋問になる場合が多く、会社側の弁護士から異議が出やすくなる。個人的には、問題と思う質問でもできるだけそのまま続けさせているが、どこでどのように質問を引き取るかは判断が難しい。とりあえず、少し長くなったが、尋問が終わる。皆さんご苦労様ということになる。ただし、労働委員会での録音反訳は、裁判所での調書と異なり、そのままのものが作成されるため、格好悪い発言もそのまま残されており、後で読むと格好悪い気持ちになることが多い。
 帰りに、警察署に寄って接見。被疑者から検事調べの内容を聞く。

 4月26日(水曜日) 午前午後と結構作業が続く。本日満期の被疑者が公判請求となった。検察官に聞いて分かったことだが、被害者の処罰感情が強かったとととと、それまでの両者の間での事情から、公判請求に踏み切ったというのであるが、少なくとも、精神的なダメージによる慰謝料という問題はあるにしても、それを超えて、実損や実害のない事件で、被害者の被害感情が強いからということで公判請求される(もし、1000万円の違約金条項が結べないということが被害者の被害感情を高めており、担当検察官もそのような被害者の気持ちに共感したというのであれば、そのような検察官の感覚には少しついていけないというのが、正直な気持ちである。)。明日は、大津家裁での尋問があるので、その準備に入る。夜には、明日が事務所にいないので、少し書面作る作業をして、もう一度接見に行く。今日は結構ブルーな一日だった。
 少し違うことを。毎朝、「ひよっこ」を見ている。お母さん方のお2人については、やはり、「雨ときどきファーム」にご出演、というような感じを受けてしまう。などと言っていたら、今週で「奥茨城編}は終わりそうである。

 4月27日(木曜日) 今日は一日、大津で過ごす日となる。9時の新幹線で、博多駅を出て、12時過ぎに大津に到着。1時半から尋問が始まるが、4時半過ぎまでかかる。問いに対する答えが長い人で、しかも相当に早口だったので結構疲れる。尋問後には調停委員を含めたところでの和解の話もあったので、裁判所を出たのが6時半過ぎとなる。22時前には博多駅に着けたので、1週間前の大分から帰って来た時よりも少しだけ早く帰れたという感じである。とにかく疲れたということで今日は終わりとなる。

 4月28日(金曜日) 午前中は、連休前にやっておくべきことをやっておく。午後は労働委員会へ。このため今月も日弁連の民事裁判委員会に出席出来なかった。福岡県労働委員会は、秋に別庁舎への移転が決まっている。このため、庁舎移転に伴いPRを兼ねて何かイベントをやりたいと考えている。そのイベントをどうするのか、結構コンセプトを含めて難しい問題が生じている。労働委員会の立位置など、集団的紛争事件が減った現在において、労働委員会のあり方やその活性化が大きな検討課題となっている。個人的には、労働問題は複雑であり、解決には困難があるということを、強調することは却ってマイナスなのではないかと思っている。労働問題は、やはり解決すべき問題なのであって、難しいとばかり言うのはかえってマイナスだと思っている。むしろ、積極的に「解決する」ということを言う方が良いと思っている(むろん、全ての問題が簡単に解決する問題というつもりはないが、現在の法制度について、正確に理解をした上で双方の歩み寄りが認められる場合は、その問題について、双方が納得できる位置での解決が図れるという点を指摘することの方が大切だと思う。)。そしてその中で、労働委員会としての能力があれば、ある程度の解決にあたることができるということをアピール出来ればよいのではないかと思う。
 とりあえず、今週は終わりにすることにして、今日は早く帰ってジムに行く。

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2017年4月23日 日曜日

今週の1週間(4月17日から21日)

 4月17日(月曜日) 今日は、日弁連へ。民事司法改革推進本部委員会へ出席。委員会は3時からだが、その前に1時30分からの証拠収集PTに。福岡空港11時発の便なので、少し早めに事務所に出てきて、事務所を出る10時過ぎまで2時間ほど作業をする。激しく雨が降るということで、大きめの笠持って東京まで往復することになる。日弁連の委員会では、民事執行法改正にかかる法制審議会出の議論についての報告を受ける。債務者の資産状況について、金融機関などの第三者に対して照会ができるとする新制度の制度設計について、第三者の範囲をどこまでとするのかなど、胸突き八丁の議論が続いていることなどが紹介された。夕方の飛行機で福岡に戻ったが、福岡は突風が吹いて雨も激しかったという話を聞く。行き帰りの飛行機は、結構揺れたが、それほどでもなかったので、少しびっくりする。

 4月18日(火曜日) 午前中は、結構難しい相談が1件(紹介できない。)。破産申立事件を法テラスを利用して受任していたが件が、色々な事情で、申立てまでい時間がかかっていて気になっていたが、しばらく連絡が取れていなかった(本人は生活保護受給者のため、いなくなることは考えにくかった)。先日から改めて連絡を取ろうとしたところ、携帯電話がつながらない(生活保護受給者の場合は考えにくい)といった事情から、先週住民票を請求していた。ところが、これとは別に、遠くに住んでいる家族も本人に連絡が取れないということで市の保護課に連絡を取って欲しいと連絡しており、結局、先週、アパートの管理人が警察官と一緒に自宅を訪ねたところ、当人が昨年9月に死亡していたことが判明した(死亡時期は、検視による)。福祉事務所は全くその点に関心が無かったようで、警察からの連絡を受けて知ったということのようである(家族から事務所にその後の処理をどうすればよいかという連絡があって初めて事実を知った。)。やはり、悲しい話という他ない(私がもう少し早く動いていたら、本人が亡くなるのは止められなかったかもしれないが、家族とは早く相談できたかも知れないと思う。)。

 4月19日(水曜日) 朝は、歯医者へ行って、今回の定期的治療を終わりにする(また半年後に通うことになる)。事務所に戻って、相談(相続関係)を1件。知り合いの関係での刑事事件の相談が1件。午後は、いくつか調べ物(共同相続登記がされた後に遺言書が発見された場合に、相続人が更正登記申請ができるのか、できるとした場合に登記事項記載証明はどのような形で交付されるのか、あるいはされないのか、更正登記を求める裁判の場合の請求の趣旨の書き方について)をするとともに、昨日の死亡事件での遺族が来られたので少し今後の打ち合わせをする。その後交通事故事件の陳述書を作る。夕方からは、福岡地方裁判所民事部との新年度の民事手続協議会の持ち方についての第1回目の作業部会に出る。裁判所の担当者も変わって最初の会合となる。今後の予定などについての打ち合わせとなる。
 その後、午前中の刑事事件について、被疑者に会いに行く。弁護人選任届に署名をもらい、また被害者あての誓約書を作成してもらう。

 4月20日(木曜日) 今日は、3時から大分市で九州労働委員会会長会議があるので、昼に博多駅を出るため、11時半までしか事務所に居られない。昨日の刑事事件について、昨日作成した誓約書を前提として被害者との間で結ぶ合意書(示談書)を作って、被害者に連絡をするが、誓約した内容を守らなかった場合の違約金条項の設置を求められる。しかもその額が弁護士としては非常に大きい額だったので、そこでデッドロックに乗り上げる。とにかく、大分での会議に遅れるわけにはいかないので、そのまま大分に向かう。この日には、福岡市の中心地天神で現金3億8000万円の強奪事件が起こっていたが、知らずに終わる。労働委員会会長会議は、沖縄を含めた九州8県の会長が参加しての会議だが、1名を除いて全員が弁護士のため、弁護士による会議のようなものになる。テーマは、審査事件における証人の職権申立についての労働委員会の取るべき態度というものであるが、事例を前提とするものなので、なかなか分かりにくい。審査事件は、行政事件という基本的性格から職権調査の色彩があるものの、民事訴訟法の定める手続きによるものとされていることから、当該証言の必要性など民事訴訟の場合と同様に考えればよいものと思う。8時過ぎに大分を出て12時前には自宅に帰り着く。

 4月21日(金曜日) 朝、新聞を見ると、昨日の白昼の3億8000万円強盗事件とそれに関する7億円を超える現金の海外への運び出し事件でもちきりである。午前中は、労働委員会へ。来週ある審査事件の尋問期日の準備のための事務局との打ち合わせをする。午後は、来週の大津家裁での尋問の準備、当事者との打ち合わせをする。離婚事件なので、どの点に集中して尋問を行うべきかを検討する。家裁での尋問は久しぶりだし、どのような感じで尋問を行うのが良いのか、なかなか決まらない。
 例の7億円を超える現金の持ち出し事件が、関税法違反事件ということで、もしこれが刑事裁判になった場合、没収に関係することがあるのか、など詰まらないことが気になる。事務所で、関税法違反で持ち出そうとしたものが没収されるとなると大変だね、その現金は自分のものだなどという人がたくさん出てくるかもしれないね、などとのんびりした話をする。20日に弁護人選任届を出した事件が、天神を管轄する中央警察署での事件なので、中央警察署に接見に行くと、マスコミの人に何か聞かれるかもしれないね、などと話す(実際に、22日に中央警察署にいったら、1階にマスコミの人が数人所在なさそうに待機しており、私が接見を終えて出てきたら、やはり、強盗事件に関係あるのですか、と質問されてしまう。)。
 そんなこんなで、今週も終わる。

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2017年4月15日 土曜日

今週の1週間(4月10日から14日)

 4月10日(月曜日) 雨の月曜日になった。結構はげしい。その雨の中、午前中は1件の相談で終わる。結構売りにくい破産財団の不動産の売却の話が進む。これさえ処分できれば次は配当ということになる。ただ、その前に不動産については、平成29年度の固定資産税が発生しており、財団債権となるが交付要求をしてもらう必要がある。固定資産評価額はこの時期に既に決まっており、所有権移転登記手続はできるが、交付要求をしてもらうには少し時間がかかりそうである。12日が破産の債権者集会なので、その後に裁判所から許可を得て直ぐに処分することにする。昼はRCへ。午後は、来週ある労働委員会の準備。証人等出頭命令の発出いついて。当然事例が前提となるが、どのような事例が前提となっているのか、設問だけでは十分に理解できない。民事訴訟と同様な考え方であれば、証人適格があり、その者の証言が必要であれば、第三者に対して出頭命令を出すことに特に問題が無いように思うが、問題は、その必要性の判断にどのような事情を盛り込むかである。他の書証で十分に亭できるような場合は、特に採用の必要がないことははっきりしている。明らかにすべき対象となる事実が、判断の際に必要かどうかの問題である。不当労働行為の認定の場合も同じであるから、同様の判断で足りると思うが、申立組合から第三者の申請をする場合があって、非申立人会社の社長などについて申立照られることがある。当該企業が大きすぎて、社長がその点を知らない場合が多いので、そのような場合は当然証人適格がないことになる。そのあたりの説明が問題になるが、心証開示ともかかわる問題であり、どの程度丁寧に説明するかという問題となる。

 4月11日(火曜日) 今日も午前中は激しい雨の一日になる。たまっていた仕事を済ませようと思う。連絡を取っていないままの顧客の分が何件かあり、それらについて連絡を取りつつ、事件を起こそうと思っているがなかなかそうはいかない。何らかの事情で止まっていたままになっていたが、その事情が解消されているのかどうかももうわからなくなっているものもある。このところ、受任後一定期間が空いている事件については、弁護士会の懲戒の問題も発生するので、気にはなっている。法テラスの関与している事件については早急な対応が必要である。特に気になっている事件で、依頼者に連絡を取ろうとするが、連絡がつかない。生活保護受給者なので携帯で連絡がつかないということは無いはずなので、携帯がつながらないということは何らかの事情が生じた可能性があると思う。早急に住民票を取り寄せることにする。
 これとは別に、交通事故の準備書面を作る。人身事故で書類送検されているので実況見分調書が存在し、そこでは交差点外での事故とされているが、相手方はこれを認めず、交差点内の事故であり、交差点外の事故であったとしても、交差点内の事故を同様に扱われるべきであると主張する。交差点内の事故か交差点外での事故かは、事実認定の問題であって、その場合予備的主張というものは存在しないのではないかと思われる。また、①信号機のない交差点での直進車と対向車が右折する場合の事故、②交差点外で相手車が右折した場合の直進車と右折車との事故、③セ直進車とセンターラインオーバーの車との事故は、連続する同じような事故態様であるが、それぞれ基本となる過失割合が異なる(右折車側の責任が、①の場合は8割、②では9割、③では10割となっており、直進車側の注意義務の程度が軽減されている。)。このため、事故が①、②、③のどの場合にあたるかが大きな争点となると思うが、相手の事実関係での主張がはっきりしない。相手方代理人は、経験の浅い弁護士だが、議論がかみ合わなくて困る。
 午後は、電話会議の弁論準備が1件で今日は終わる。早目に」終わらせてジムへ行く。

 4月12日(水曜日) 今日は、良い天気になる。福岡での桜は、まだ健気に頑張っているものも多く、目を楽しませてくれる。昨日の続きの準備書面を午後までかけて書き上げる。午前中は、この他に破産事件の債権者集会。夕方からは、人証調べの準備。離婚事件なので、どの程度の内容を裁判所に伝えれば足りるのかどうか。裁判所に結婚生活のイメージをつかみやすくするにはどのような説明が適切かなど、結構考えることが多いい。とりあえず、1回目はイメージを共有するということと、基本的な事実関係についてのおさらいといったことで終了する。

 4月13日(木曜日) 今日は、昨日の破産債権者集会で、早期に解決したい、といったこともあり、①不動産の譲渡、②不動産(保安林)の放棄、③倒産した法人への出資金の放棄などの許可申請を行う。不動産の譲渡は、売買契約書を作らなけばならず、結構ばたばたする。合間に、いくつか相談事を処理することで今日は終わりとなる。

 4月14日(金曜日) 午前中は、火曜日に準備書面を書いた事件の弁論。裁判所から進行予定を聞かれた相手方の弁護士が事故の態様について、当事者の陳述書を出して主張するという。正直なところ、過失割合が争点となる事件での事故の態様は主要事実なので、証拠の扱いにとどまる陳述書で書くという相手方弁護士の話す意味が分からない。感覚の違いのレベルなのか、分からないまま終わる。午後は、労働委員会に出席。4月の定期異動後初めての総会なので、人事異動の報告、転任者のあいさつから始まる。それ以外の議題も多く、公益委員会、総会ともに、ほぼ1時間をみっちりやる。夕方事務所にもどったら、先日、生活保護受給者なのに連絡がつかず、どうなったのかと不審に思っていた人が、実は既に死亡していたことが分かっていた。同様に連絡がつかないことを不審に思っていた家族が、問い合わせて、さらに住まいとなっているアパートを管理していた不動産業者が警察官といっしょにアパートに入ったところ、死亡が確認されたということだった。私が、連絡を取ろうと思った時期が警察官が死体を発見した時期とほぼ同時であったようである。とにかく、ご冥福を祈る。

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2017年4月 9日 日曜日

今週の1週間(4月3日から7日)

 4月3日(月曜日)今日から平成29年度が始まる。そうは言っても、弁護士にはあまり関係ない。裁判所や検察庁は、大移動で(裁判官は3年で移動というサイクルがある。このため、この時期は、裁判の期日も予定されないことになる。通常事件だけでなく、破産などの事件では、書記官の役割が大きいが、書記官も同様に移動するためこの期間は、中休みとなりがちである。個人的には、労働委員会会長の関係で、新らしく事務局長や次長となられた福岡県職員の方から新任のあいさつを受けるくらいである。忘れていた(このブログを書く際んは忘れていたというのが正しい。)、朝、最初にやったのは、事務局職員との間での新年度の給与や有給休暇の日数の確認という作業である。毎年この日にやっている。午前中は、相談が1件。熊本の震災に関する金融債務についての特定調停の効力に関するもので、結構難しい。昼はRCへ。いつもと例会場が違ったのもうっかりしていて、事務所を出るのが遅れる。事務所に戻って、新局長の新任あいさつを受ける。労働委員会では、4月から6月初旬の全国会長・事務局長会議までの2ヶ月以内に、九州ブロックでの会長事務局長会議、九州ブロックでの公労使三者総会が組まれており、結構大変である。その後、刑事の国選(控訴事件)の記録が、原審の弁護人から送られてきたので読み始める(段ボール2箱。原審記録は5000頁と言われていたが、原審で公判前整理手続が行われていた関係で、検察官による開示記録(公判請求されない書証)が相当に多い(10冊以上あった。)。送られてきた記録の整理だけで終わる(今日は、ジムに行って、作業は明日から始めようと心に決める。)。

 4月4日(火曜日) 午前中にいくつかの作業をやって、昨日決めたように、午後からは、刑事の記録の整理を始める。原審が公判前整理手続を行い、否認事件であり、共犯者に調書が不同意になっていることもあって、尋問調書が膨大なものとなっている。先週高裁で記録を見た際に、書証の同意不同意及び尋問後の採否の点は確認していたが、取調べ済みの書証化どうかにより、甲号証をより分けるという作業が結構大変になる(甲号証の番号が飛ぶことになる。)。とても、にわかには信じられない事件だが、争いの無い部分(自白事件)では、被告人がA(行方不明者)とB(既に死亡している)に成りすまし、一方ではAについて弁護士に依頼して自己破産の申し立てを行い(きちんと破産手続きが開始し、免責も受けている)、次にBがAに対して取引先として債権を持っており、Aの自己破産(倒産)により連鎖倒産の危険があるとして倒産防止資金を騙取したというがある。Aに成りすました被告人から依頼を受けた弁護士は、自己破産申立の際に、その資料として、住民票を裁判所に提出しなければならないが、その住民票についても、被告人が市役所に対し、A名義の虚偽の住所異動届を提出し、住民基本台帳にその記載をさせ(私文書偽造、電磁的公正証書不実記載は成立する)、さらに、市の福祉事務所に生活保護を申請し、保護費を騙取した詐欺事件(ここまでは自白事件)が一連の犯罪となっている。なお、この住民登録の際には、Aの運転免許証が申請した者がAであることを証明するものとなるが、そのAの免許証には被告人の写真が貼られており、それを市役所の職員が信用したということになる(運転免許証の信用性は非常に高いと思うので、それを市の職員が信用するのは当然だと思う。なお当然だが、Aの免許証には貼り変えといった細工跡は全く存在しない。)。Aの自己破産の申立てを担当された弁護士事務所では、自己破産について、裁判所から追加資料の提出要求に際し、BのAに対する債権について、Aの弁護士として、Bとの間で資料の提出を求めるなどの事情聴取を行っているが(この他にも、Aの代理人としてBに迷惑をかけて申し訳ない旨の書面もある)、そのような文書を見ると、すごく複雑な気持ちとなる。とにかく、1日かけて、周囲から少しずつ読み始めたという段階にとどまる。

 4月5日(水曜日) 今日も昨日の続きの1日となる。とりあえず半分くらい読んだというような状態となった。実際に争点となる部分は、放火なのだが、起訴状が、公訴事実での犯罪行為態様にについて「何らかの方法で」としか記載しておらず、原審弁護人は、公訴棄却を主張していたが、判決も、検察官の記載と同様の記載で犯罪事実を認定している。刑事訴訟法の授業で、識別説で足りるのか、更に具体的な記載が必要かが論点とされていた。既判力の客観的範囲の確定(刑事訴訟法では二重の危険という観点から客観的範囲は拡大されているので、論じる意味はあまり無いのかもしれない)なので、民事訴訟法では識別説で足りると考えられているが、刑事訴訟法では、被告人の防御という観点から「何らかの方法」では問題だろう、という問題意識があるのは明らかである。従前から当該犯罪の具体的内容により、その詳細度は違うが(白山丸事件や薬物事件では特定は難しい)、殺人事件でも、「何らかの方法」としか書けない事件もある(死体の損傷程度から殺害方法が特定できない場合-死体の腐敗が非常に進んでいる場合など)。放火の場合は、そのような要素も無い訳ではないようにも思うが、この事件でどうだはもっと考えたい。。否認事件でそのような事件の場合は、直接証拠は存在しないので、間接証拠による判断ということになるが、それでよいのか(可能なのか。)、良くわからない。

 4月6日(木曜日) 連日、刑事件の記録読みだけをするのは疲れるので、今日は別の事件を。今日は、戸籍の関係で、初めて知ったことを書く(恥ずかしいことなのかもしれない)。ABの夫婦にCという子供がいる夫婦が離婚し、cは母Bの戸籍に氏を変更した。かなり時間が経って、AとBは再婚した。その際、CがBの戸籍に入っており、CとAの養子縁組も変なので(CはAの実実子である。)、結局、CのみがBの戸籍に残った。まもなくAが死亡し、しばらくしてBはAの戸籍を離れた。Bの新しい戸籍だが、元の自分の戸籍に入ることができない(離婚の際に、旧姓に戻る場合、実家の両親の戸籍がある場合、両親の戸籍に戻る場合が多いとは異なるようである。)。Bが当初のBの戸籍と同じ場所で戸籍を作った場合は、Bが戸籍の筆頭者でCのみが現在する戸籍と新しいBのみの一人戸籍が併存することになる。少し変に思うが、やむを得ないのかもしれない。
 午後に、労働問題の相談。勤務先の上司から暴行を受けた(全治2から3週間の診断書あり」、という事件の相談である。雇用主の従業員に対する全配慮義務違反という問題だが、まだ、そんな会社がたくさんありそうだということが問題だと思う。今日は当番弁護士だったが、連絡が無くてホッとする。

 4月7日(金曜日)破産管財事件で、不動産が売却できそうだと話があった。すごくうれしい。なんとかまとめたいと思う。順調にいけば配当まで1年で終わりそうである。今日は、何とか、控訴状を1通提出したことで終わる。あとは、刑事事件の記録を一応読み終わる。ただ、控訴理由書を書く前提として、原判決(30枚以上あって結構長い。)を読み直す。争いの無い事実(前提事実)とされている事実を読み直す作業から始めるが、いざ、その内容を自分なりに文章に落としこもうとすると結構難しい。つまり、まだ自分の理解が、「腑に落ちる」というところまで至っていないということだと思う。気分転換に、人証調べの期日が入っている離婚事件の記録を読み直す。それと明日予定されている団体交渉の準備をしておく。これで今週はお終いとなる。 


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