弁護士ブログ(日々の出来事)

2017年11月11日 土曜日

今週の1週間(11月6日から10日)

 続けて、今週分を書こう。

 11月6日(月曜日) 午前中は、民事の弁論準備期日が1件。新件だったので、今後の進行をどうするかが検討事項となる。というのは、担当裁判官が3年目で来春移動の可能性が高いということで、そうなると人証調べの予定も考慮にいれながら(4月以降に担当する裁判官の下での人証調べが望ましい)、それまでの期日運営を考えることになる。この事件では、家裁に本来の事件がかかっており、そちらの進行具合も影響する(その事件には、私は係わっていない。)。昼はRC。その後少しだけ前回に引き続いてクリスマスの準備をする。事務所に戻って、明日の人証調べの準備を少しやる。

 11月7日(火曜日) 昼前に小倉に向けて事務所を出るので、午前中もあわただしい。何か所かに電話を入れて終わる。昼前に小倉の裁判所に向かう。昼休みに当事者と打ち合わせ。この事件では、相手車のドライブレコーダーが証拠として出されており、余り争点は無いし、裁判所からも事前に和解案が出されたいたのを、相手方が納得できないということで人証調べとなった事件である。このためあまり準備する内容もなかったが、当然だが、本人は裁判所での尋問には慣れておらず、基本的な注意といった程度の準備となる。
 実際に尋問が始まると、ドライブレコーダーの有無で尋問の内容は相当に変わってくることを実感する。今回は相手車の前方のドライブレコーダーのため、相手車の進行が時間も秒単位で分かった(事件は、前方を走行していたい相手車が道路の左側に車を停止させた後に左後方の駐車場に自車をバックで駐車させようとして後退を始め、内輪差があるため、後方から進行してきた当方の車の右側面に右前面を接触させたもの)。このため、相手車の後方確認の不十分さが主要な争点となる(当方の前方確認義務違反もあるが小さい)。画像上では停止して2秒もたたないうちに後退を始めているのが明らかになっており、ドライブからリアに入れてルームミラーとサイドミラーでの確認という手順で後退を始めるには、それでは足りないことが明らかとなるが、ドライブレコーダーがなければ、相手車の運転者がそれらの確認をしたと主張した場合、それが(十分な時間を取って)行われていないということを立証することは相当に難しいことになる(図面で時間を示すのは難しい。)。
 また、尋問の際には、ドラブレコーダーの画面を示しながら尋問できれば、便利だと思うが、それがなんとかならないかと思う。
 事務所に戻ったら、当番弁護士担当日ということで、被疑者国選事件で選任がされた。被疑者からの接見の要請もあったため、博多警察署に接見に行く。

 11月8日(水曜日) 今日は、日弁連民事司法改革総合推進本部の委員会出席のために東京に向かう。全体会議の前に証拠集部会の会議があるため、朝の飛行機で東京に向かう。部会では、当事者照会について多少議論する。当事者照会には相手方はこれに応じる法的な義務があるのが前提だが、あまり利用されていないというような点など少し部会でも議論する。民事訴訟法は証拠の章(第4章)には、裁判所による証拠調べを前提として証拠方法提出などを定めているが、当事者による証拠収集については、訴え提起前の証拠収集の処分の章(第6章)では、当事者照会(132条の2以下)を定めるだけで、文書提出命令や証人尋問などは、そこでは規定されていないという点の違いをもう少し意識する必要があるのではないかなどの議論が出る。その後、全体会議。夕方福岡へ帰る。事務所から連絡があり、被疑者から接見依頼があったとのこと。

 11月9日(木曜日) 朝、昨日の被疑者からの接見依頼を受けてので、事務所に出る前に博多警察署へ。接見自体は短い時間で終わる。事務所に戻って午前中は相談が1件。午後は、労働委員会へ。今日の会合で第40期の労働委員が終わり、次回からは新たに選任される41期の委員による労働委員会となる。このため、最後の定例総会となる。また引き続いて選任される委員については、知事空の辞令交付となるため、そのための準備について会合となった。最後の総会では、今回辞められる6名の委員が最後のあいさつ。1年で辞められる方や10年務められた方など、労働委員会での係わり方にはいろいろな違いがあるが、皆さん、それぞれの出身母体から離れて、適切な解決のために尽力してただいた。厚くお礼をお申し上げたい。
 その後、明日の準備を。明日は、午前中に刑事ん控訴審、午後は、労働委員会の庁舎移転に係わるトークイベント(パネルディスカッションだけではありません。新しい労働システムに向課って、日々努力している企業での実情をお話しいただく)のあいさつの原稿を考える。

 11月10日(金曜日) 午前中は、刑事の控訴審。前に書いたように、事実に争いの無い裁判員裁判事件での量刑不当という控訴理由で、1審判決後の事情に大きな変化がない場合の被告人質問の事項には、大きな問題点がある。1審判決の量刑理由の説示部分と具体的な量刑に納得が行か無い場合、高裁の裁判官に、この事実関係でこの量刑は納得がいくのかという疑問を投げかけるというのは、控訴審の構造からするとそれを表から行くのは少し難しいので、とりあえず、控訴理由書にそのあたりを相当に詳しく書いておき(ここは、ある程度詳しく書いていても問題は少ないと思われる。控訴審の裁判官も自分なりに事実を構成できないと納得できないし、その限度ではそのような裁判官のメンタリティに訴えかけるしかないように思う。そこで、第1審後の被告人の心境の変化を語らせる際に、その辺り(事実の評価)に少し触れながら、質問を続けるという方法を考えるしかないが、その点には、厳しい裁判官もいると思うし、被告人にその手について語ることができる能力、繊細さが無いと難しい。
 その後は、民事の弁論が1件で、午前中は終わる。
 午後は、労働委員会の庁舎移転を記念するトークイベント。労働委員会の主催するセミナーは、いつも労使双方の委員にお願いして、双方から関係者を動員している。今回は少し視点を変えて、これから社会に出る学生に多く出てもらった。公益委員を務める大学教授にゼミ生等の学生を動員してもらった。また、イベントの案内も各大学の就職担当部門に送った。このため、セミナー(トークイベント)の内容も、学生を意識した内容にして、企業も組合もそれぞれ働きやすい労働環境の確保に向けて日々どのような努力をしているのか、特に女子学生に対しての仕事内容の多様性を前提とした働き方改革の現状を話してもらうなど、良い内容になっていたと思う。おかげで200名近い聴衆が、最後まであまり席を立つことなく、2時間聞いてもらえたと思う。そういうことで、今週はおしまい。


投稿者 あさひ共同法律事務所

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