弁護士ブログ(日々の出来事)

2017年10月21日 土曜日

今週の1週間(10月16日から20日)

 10月16日(月曜日) 今週は、木曜日に人証調べがあるので、その準備に忙しい。先週、打ち合わせをし、今日は、もう一度の打ち合わせ。このところ、人証調べを何回かやっているので、あまり緊張することはないが、それでもどのような質問をするのが話しやすいのかは、個人差(性格かもしれない)があるので良くわからない(というより、実際の尋問になってみないと分からない。)。話を単純化し、かつ分かりやすく話してもらうことを中心に組み立てを考える。
昼はRC兵器へ行き、いったん事務所に戻って、その後労働委員会へ。今月亡くなられた委員のご遺族があいさつに来られる。総会前、故人がどのように委員を務められたかについて、全委員とご遺族を前に、少しお話をさせてもらう。ご本人も労働委員会の委員は続けられたいという意向があられたということで、返す返すも残念だった。

 10月17日(火曜日) 明日が東京行きなので、今日中に刑事の控訴理由書を仕上げたかった。原審が裁判員裁判だと、資料が少ないので(正確には、申請が撤回されることで、証拠調べのされない書証は多いが、原審で調べられた資料は少ない。)、事実関係に争いが無い場合の量刑不当を控訴理由とする場合は控訴理由書に書く内容があまりない(1審判決後の刑に影響を与える事情など余り存在しない。)。それでも、ある程度の内容を書くと思うとかなり苦労する(原判決も刑の量定に関する記載がほとんど無い場合ように思う。)。とにかう7枚程度は書いた。その後は、木曜日の人証調べの準備。反対尋問もあるため、その内容も考える。反対尋問の範囲は主尋問の範囲を越えられない。主尋問の対象は、尋問事項書と事前に提出される陳述書となるので、それらに記載が無い事項については反対尋問の範囲を超えることになる。そこで、こちらからも被告(相手方当事者)について、尋問を請求することにした(申請時間を当初予定していた反対尋問の時間内にするということにした。)。

 10月18日(水曜日) 今日は、日弁連の裁判迅速化委員会へ。ただし、朝の飛行機で早めに羽田に着き、そのまま上野の国立博物館での運慶展に。切符売場では40分待ちと言われたが、20分程度待たされただけで会場へ。一応事前に下調べはしていたが、やはり内容は充実していた。個人的には、金剛峰寺の八大童子像と興福寺の四天王像(こちらは運慶作とは確定していない)が見られたので十分満足した。日弁連の委員会では、来年早々にも迅速化検証が刑事事件も含めて行われるという報告がされる。

 10月19日(木曜日) 午前中は、いくつかの作業をした後(昨日が東京だったので少し作業がすべきものが溜まっていた。)、午後の人証拠調べの準備。そうは言いながら、私はこちらの証人一人の主尋問のみが担当なので(残るもう一人の主尋問と被告に対する反対尋問は、藤本先生にお願いした。)、気分的には楽である(ただ、担当する証人が、税理士事務所の人なので、どうしても話が長くなる可能性があり、裁判所に分かりやすい尋問となるかが心配だった。)。
 午後は、1時30分から4時30分まで尋問(合計3名)がかかる。こちらの証人は、いずれも答えが少し長かったがほぼ予定通りに進行する。実際にもそのとおりなのだが、答を自分なりにきちんと考えて答えてもらった(うちの事務所では、予め想定問答集を作ってそれも暗記してもらうというようなことは避けている。むしろ、自分の言葉で答えて欲しいと言っている。)。今回の尋問は、双方の証言内容が全く違っており、その部分についての真否を直決定的に明らかにする直接証拠が存在しないため、間接的な証拠を含めて全体的な評価をするという作業となっていた。そのため、時間はどうしても長くなるものであったし、反対尋問で決定的に明らかになるという訳でもなく、その意味では逆に疲れる尋問期日だった。とりあえず、お疲れ様という期日だった。

 10月20日(金曜日)午前中はいくつかの作業をして、午後は弁護士からなられた大橋元最高裁判事の講演会へ。1時から3時間の講演。少し遅れたので最初のお話は伺えなかった。最高裁でのご自身の体験を踏まえたお話で、印象深かったのは、評議の際の少数意見の提出は、多数意見を論破するというような議論での勝ち負けという感覚ということもあるが、双方の意見がどの点で違うのかという点を明らかにするという機能があるというお話と、最高裁に対する「民主的手続きで選ばれていない裁判官が判断する」という根本的な議論に対する問題で、在任中にもLGBTについての判断を迫られるという問題があった際に、そういう問題は「政治」で解決する問題なので、司法はできるだけ消極的にという意見があることを前提としつつ、国論を2分するような問題について、選挙を意識した政治の場ではかえって判断をしない場合があることを前提として、そういう問題の判断が裁判所に持ち込まれて場合にはどうするのかが問題となり、結局、裁判官としての価値判断をあからさまに示すのではなく、その問題に関連するいくつかの実定法の存在を前提に、それらを規律する法の考え方に基づくものという判断を下すといったことは司法の謙抑的な判断を示すという手法を取る裁判官がいたというお話であった。確かに、非嫡出子と嫡出子の相続分の相違については、結局違憲判決が出されたものの、考えてみれば、この問題は以前から言われていた問題であり、民法のような基本法について違憲判決が出されるということ自体、政治がやるべきことをしていないということを端的に示すものなのかも知れない(この問題も政治が早期に十分議論して決めるべき問題であったところ、国論が分かれる問題のためか、政治がその判断を避け続けてきたため、裁判所が違憲判決を出さざるを得なかったという側面は否定できなかったように思われる。)。
 その後、大橋元判事とは、日弁連の司法改革推進本部や司法シンポの関係での親しくさせていただいたこともあり、その後の懇親会にも参加させていただき、楽しい時間を過ごすことができた。良い週末だった。
 


投稿者 あさひ共同法律事務所

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