弁護士ブログ(日々の出来事)

2017年3月18日 土曜日

今週の1週間(3月13日から17日)

 3月13日(月曜日) 今週も比較的予定の無い週となっている。このため、しばらく色々な事情で手を付けていなかった事件の整理に入る。いつも思うことだが、既済記録を片付けるという作業は、結構時間がかかる。そもそも、どの時点で既済事件とするかという問題がある。個人事件ならその事件が終わったときに、既済事件として処理できるが、顧問先などの場合は、その事件は終わったとしても、別の事件が残っている場合がある。また、既済事件とするタイミングも難しい。報酬を受け取った時点で終わりとするのか、和解内容の履行が終わるまで待つのかなど難しい。和解の履行が分割払いの場合どうするのか、弁護士の個人差や考え方の違いにもよるところがある。和解成立でお終いで、履行に関しては委任事項ではないので責任を持たないという割り切った考えもあろう(以前、和解内容の初回の返済が履行されなかったので、返済期日から少し経過した時点で相手弁護士に連絡したところ、委任関係が終了したので関係がない旨を言われたことがあった。)。また、法律相談センターを経由した事件では、報酬受領後にセンターに報告をする必要がある(一部負担金が発生するので当然である。)。相手方からの和解金入金後の報酬受領となるのが通常なので、報告書提出がかなり遅くなることになる。報告書を出して、少ししてようやく終わりにできることになる。
  そういうことで、溜まった記録の整理は時間がかかる(途中で電話がかかると作業が中止になるので、結構大変であるが、いつかはやる必要がある。)。

 3月14日(火曜日) 午前中は、相談が1件。2年ほど前に相談を受けていたことの続きの相談。その他、交通事故の件などで電話でのやり取りで終わる。午後は、不動産の相談(土地の瑕疵担保の買主側)。地中埋設物の問題であり、住宅用地として取得した会社からの相談。民法の規定では1年以内の損害賠償請求ということになっており、損害賠償の内容をどの程度明示する必要があるかが問題となる。地中埋設物の存在(どの深さまで存在するのか良くわからない。)、その際の撤去費用の算出をどこまでやるのか、木造住宅建築のためであれば、それほどの深さまでの撤去入らないかもしれないなど考えると、見積書をどう作るかがけっこう面倒となる。見積書を作成しないと損害額が確定せず、損害賠償請求ができないので、土木工事に入るのが遅れた場合は、結構難しい問題となる。
 今日は、ホワイトデイなので、事務員さんの誕生会を兼ねて食事会をするので、早く事務所を出る。

 3月15日(水曜日) 午前中の2時間は事務所でまじめに作業する。12時の飛行機で羽田に向かう。東京は、朝、雪が振っているというのを聞いていたので、飛行機が遅れないかなと思ったが、なんとか3時前には、日弁連に着く。民事司法改革推進本部の委員会。法制審民事執行法改正の関係での報告がされ、債権執行の際の第三者照会について、最終的に銀行に対する照会程度に落ち着くということになるのでないかという危機感を持った報告がされる。それなら弁護士法23条の2の照会に銀行が応じている現状とあまり変わらないということになり、それに対する意見交換が行われる。5時までで委員会が終わり、夕方の飛行機で福岡に戻る(帰りの便は順調だった。)。

 3月16日(木曜日) 午前中は、45分間を予定時間としていた弁論準備期日が1件。予定時間から充実した争点整理期日となることが期待されていた期日だった。担当裁判官が4月に移動となるため、この時期にどの程度内容を深めておくのが必要かは気になるところではあるが(次の裁判官への引継ぎがどの程度行われるのかは分からない。)、とりあえず、きっちりやることを考えていた。事件は、金銭を扱う部門にいた元従業員に対して、同人が横領したとして横領金を請求する損害賠償事件。複雑にしていけば、切りの無い事件なので、どうすれば、事件を裁判所に分かりやすくすることができるかが、一つの争点となる事件である。そのためには、外形的な事実関係(当時の現金取扱システムといた外形的な事実関係)を争いの無いものとするなど固めた上で、その後の進行を考えるという必要があるので、そのための説明の期日(預金口座への入金のシステム、日々の業務での現金確認の時期などの説明)であったが、書面だけでは、裁判所や相手方代理人がこちらの説明をどの程度理解して貰えるのかわからないので、まず、こちらが事前に提出した準備書面の内容を口頭で補充しして説明し、誤解や誤読の内容にする、相手方から出された書面についても質問して、どのような内容なのかを念のため確認し、相手からの疑問点(相手方の主張は、あるべき金員が存在せず、それを当該従業員が横領したという主張なので、あるべき金員がなくなっているのは、他にこのような支払いに使われた可能性があるというものである。)ついて(その疑問点は準備書面に記載されていた。)、このような説明でその論拠は成立しないと思われること、可能性があると指摘された他の支払いは、その額がこの程度で、それは別に支払われているという点を次回まで提出するというところで終わる。担当裁判官は、争点整理期日における議論の活性化を積極的に唱えている人で、裁判所の心証開示についても積極的な人なので、うちの事務所が考えている争点整理のやり方でやってみた。どのような感想を持たれたのかは分からないが、口頭議論の一つの事例になればよいと思う。
 午後は、古い事件の掘り起し。細かくは書けないが、法テラスを利用して事件を受任したが、その後、少し相手の様子を見るということで中断していた事件があり、その件を動かさなければならない(むろん、現状を確認して、依頼者との意見を交換してからのことである。)と思い、今週の初めから電話をかけていたがなかなかつながらなかった。この日に連絡が取れて現状を聞く。家事事件であるが、最終的に、これ以上、事件を進めるつもりがないということになる(法テラスの援助事件としては終結となる。)。中断期間がかなり長かったこともあり、受任当初からさかのぼっての報告書を作成して法テラスへ提出する。この作業は結構疲れる。今日は早く帰って、ジムに行くことにする。

 3月17日(金曜日) 午前中は、いくつかの作業に追われて終わる。午後はまず、労働委員会に向かい、事務局との打ち合わせ。その後事務所に戻って作業を。途中で、自由と正義3月号を見る。今回の特集の一つに、破産事件における申立代理人の責任に関する論考が3本載っている。最初のものは、修習地が一緒だったT先生のもので、2本目は福岡県弁護士会のK先生のもの、3本目は大阪の先生のものだった。このテーマは、先月の福岡地裁での破産管財人協議会でも取り上げられたテーマの一つだったが、やはり、破産事件の申立て代理人と依頼者との委任契約をどのようなものと考えるのかが大きな問題となると思う。私の経験でも、残念ながら、依頼者から結構な額の金銭を受取ながら、ほとんど何もしない申立代理人が存在する(管財人に全てお任せするという。)。破産の相談の場合は、飛び込みや他の人からの紹介のためその人や法会社のことを良く知らない場合も多く、十分な信頼関係が作れないにもかかわらず、急いでやらなければいけないことがあるので、難しいところがあるが、やはり信頼関係の構築と、その後の問題点を見据え、かつその依頼者の将来設計を見据えたうえでの諸手続きの実施を考えなければならないと思っており、そのためには、管財業務の先取りをしておく必要があある場合がある(例えば、在庫商品の処分先を考えておくとか、その後の配当手続の進行を予測したうえでのことであるが未払給与債権や租税債権を支払っておくなどである。)。そのあたりをどうのお湯に考えるかは、個人差がある。申立代理人のベストプラクティスとは別の法的責任の問題は、相当に慎重に考えるべきではないかと考えている。


投稿者 あさひ共同法律事務所

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