弁護士ブログ(日々の出来事)

2017年3月25日 土曜日

今週の1週間(3月21日から24日)

 3月21日(月曜日) 午前中は、相続に関する相談。身内の間での意思疎通が難しいことを改めて知らされる。相手に受け取って欲しい(不動産ではない。現金である。)ということをお願いするという内容である。その後は、交通事故の件での打ち合わせ。いつも思うが、やはり、事故状況をきちんと理解してその内容を相手に伝える書面にするのはやはり難しい。登録後間もない若い弁護士からの書面を受け取ることも多いが、先方が考えている事故状況についてうまく理解できないことが時々ある。自分でもそう思うが、表現力(分かりやすく相手に伝える)を身に付けるのは難しい。午後は、いくつかの作業を行う。途中で、法テラスから高裁の刑事の依頼が入る。先月、高裁の国選事件が終わったばかりなので、順番からするとしばらく回ってこないと思っていたので、少しびっくりする。ただ、法テラスからの国選事件の依頼については、受任が弁護士の義務だと理解しているので断らないことにしているので、その原則に従って引き受けたが、記録が5000頁ということを考えると(もちろん了承する前に聞いていた。)少し後悔する。罪名からは、裁判員裁判事件でもないので、なぜそんなに記録が厚いのか不思議に思う。法テラスからは、原審の判決文が送られてくるが、判決文が長い(併合罪となる犯罪数が多い)のと中身も珍しい内容なので少しびっくりする。いくつかの犯罪事実のうちの一つであり、被告人もその事実は争っていないので、少し書くが、被告人が行方不明者Aに成りすまし、さらに既に死亡したBにも成りすまし、Aについて自己破産を申立て、従前BのAに対する債権があり、Aの自己破産申立てにより回収が不可能になったとして、連鎖倒産防止のための共済金を騙取したというものがあった。まさに「事実は小説よりも奇なり」という感じである。

 3月22日(火曜日) 午前中は、事務所で少し作業をして労働委員会へ行く。審査事件の調査期日(裁判での争点整理期日)で、次回が証人尋問となるため、直前での争点を整理し、人証と尋問の対象となる事項を確認する期日となる。不当労働行為の性質は労組法上での不法行為であるので、不法行為とされる具体的な事実と当該事実が労組法7条各号に定める違法行為と認定できるかが、審理の対象となる。そのため、申立人である組合が主張する事実が存在するのか、その事実が存在するとしてそれが労組法に定める不当労働行為と評価すべきかが審理の対象となることになる。要件事実的な言い方をすれば、主張される事実が認定できたとしても、労組法7条に該当しないことが明らかな場合は、主張自体が失当ということになり、審理をする必要も無いことになるが、契約関係のように事実関係の大枠が定まっている場合はそのような判断はやりやすいが、不当労働行為の場合は、労使間での一連の紛争があり、その中の一部が切り取られて、不当労働行為となるとして審査事件になるため、その事実の切り取り方が難しい。組合側が考えている切り取り方とこちらが考える切り取り方(使用者側の切り取り方が違うのは当然である。)が違う場合に、どのような主張を理解するのか(行政処分であるため、弁論主義の考え方で解決できない)、結構難しい。
 午後は、事務所で作業をして、4時過ぎに家庭裁判所での電話会議(次回が尋問期日なので、日程の確認程度で終わる。)。昨日から、金融商事判例増刊(金融取引の適合性原則・説明義務を巡る判例の分析と展開)を行き返りの電車の中で読んでいるが、用語についていけなくて大変である。全部を読み切れるとは到底思えない。)。

 3月23日(木曜日) 午前中は、裁判所でのTV会議。管轄の関係で福岡地裁に係属しているが、関係者がK支部にいるため、K支部に関係者に出頭してもらい、福岡地裁本庁とk支部との間でのTV会議による弁論準備期日となる。画像は鮮明だし(ただしカメラの視野が少し狭い)、マイクも良く音を拾ってくれる(逆に代理人間での私語ができない)。便利なツールであることは間違いない。
 午後は、労働委員会。定例の公益委員会議と総会。現在、総会では、会議事項が少なく時間に余裕がある場合は、中労委に命令例の検討会を開いている。今回は、九州大学の山下教授から広川書店事件の命令例の紹介があり、意見交換を行った。高年法(定年延長、再雇用等の高齢者雇用に関する法律)による雇用条件提示についての組合員と非組合員間での提示内容の違いについて、不当労働行為の成立が争われた事件だが、「不利益性」の問題を、高年法の立法趣旨を踏まえて、どのような側面で捉えるのか、また、不当労働行為が成立するとした場合の救済の方法について、難しい問題となるという点でのコメントがあった。

 3月24日(金曜日) 午前中は、相続に関する相談が1件。やはり、相続に関する問題は難しいところが多い。事件の見方、構成のやり方で色々と変わって来るように思う。午後も相続をにらんだ家族間での問題についての事前の相談。こういう問題の場合、やはり相手の様子が分からないということがあり、不安要素を挙げていけばきりが無く、相談者を不安にさせる可能性(危険)があり、その結果、相手に対する疑心暗鬼を募らせてしまうことにもなりかねない(ある意味では相談を受けた弁護士がそういう不安をあおっている可能性もある)。
 今日は、民事の判決を受け取る。損害賠償請求事件(原告側)だったが、被告から激しく争われた違法性と損害そのものの発生とその内容については当方の主張を認めてもらったが、賠償額額の点での主張が十分に認めてもらえず残念。損害額の認定については民事訴訟法248条の適用もあるかと思っていたところ(適用はなかった)、今日送られてきた金融法務事情2062号に、その点の論考が掲載されていた。週末には、今週から読み始めている金融商事判例増刊を読もうと思う(また、その次になるが、日弁連民事裁判委員会でご一緒させてもらっている永島賢也弁護士が最近書かれた
「争点整理と要件事実」- 法的三段論法の技術 (青林書院)を読んでみようと思う。)。 

投稿者 あさひ共同法律事務所

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