弁護士ブログ(日々の出来事)

2015年9月12日 土曜日

今週の1週間(9月7日から11日)

 9月7日(月曜日) 今日は、和光市の司法研修所で中堅判事の研修会で、お話をする。これは、第1東京弁護士会O弁護士から「一緒にやって。」と言われて、ご一緒したものである。任官後15年前後の裁判官33名に、弁護士として厳しいことを言って欲しい、というのが本来のリクエストだったが、実際に何を言うのかは難しい。しかも民事、家事と刑事のそれぞれで、すでにある程度分かれているので、弁護士の立場から話としても難しい。
 結局、話のポイントは、裁判所は、事実関係を確定し、そこに法令を適用するという立場にあるので、事実関係をきちんとつかんでほしい。ただ、そのためには、弁論準備の段階で、原告、被告の双方が主張する事実関係が分からなければ、分からないとはっきり言ってほしい。弁護士は、裁判所が分かっているのかどうかに一番関心があるので、それを適時に示して欲しい、という当たり前のことをお話ししたというものである。ただ、裁判官にとって、必要なものは何か、という質問に対しては、専門的知識、決断力、コミュニケーション能力、体力などというものではなく、①精神的なタフさ、②手続き公平を守るという姿勢、③品がよいこと、という3つの点を掲げた。①、②はともかくも、③の品があること、というのは、私の口から出るとはだれも思っていなかったようで、今回の裁判官研修での、参加された裁判官の記憶に残ることかもしれない。個人的には、裁判官は、自分の行為が司法権という権力作用であるということを認識しなければならないこと、また、裁判の結果が当事者や国民に受け入れられるのは、そのような権力性に基づくものではなく、結論を下した裁判官の品性に納得するものであり、それは、裁判官が真摯に裁判に携わっているということを感じるからである(権威は、品性をその根拠とする。)。
 司法研修所が文京区湯島から和光市に移ってから20年を経過するようだが、個人的には和光の新しい研修j所にいったことが無かったので、和光市駅に少し前について、先に研修所本館を外から見学(初めて見る研修所は、設計時期が同じ頃のせいか、東京都庁の建物に似ているような気がした。周りの樹木が大きくなっており、湯島とはずいぶん違うイメージである(和光の研修所と比較すると、湯島は高校の校舎というようなイメージである。)。
 なお、裁判官用の研修所(司法研修所別館)は、2013年に完成した建物で、これもまた立派な建物だった。
 講演の後は、参加された皆さんの懇親会にも参加させていただいた。あまり、お話しが出来なかったが、 裁判官という面と合わせて普通の生活者という面もあるので、体力や精神力などそのあたりのバランスのとり方には、苦労されておられるようだった。

 9月8日(火曜日) 朝の飛行機で福岡に戻る。たまっていた仕事を少しやり、午後は打ち合わせと明日の証人尋問の準備で終わる。今日は、司法試験の発表日で、4時過ぎから、この事務所で、受け入れていた九州大学ロースクールの元エクスターン生から、合格したという連絡が入る。心から「おめでとう」といいたい。「我々の世界へようこそ」という気持ちである。

 9月9日(水曜日) 午前中は、証人尋問で終了。民事できちんとした尋問を行うのはずいぶん久しぶりである。反対尋問も同一期日で行うので、その準備もしていたが、相手方(被告代表者)の証言が少しあらぬ方向に向かったので、少しあわてる(陳述書にも記載がなかった)。裁判所も予想しない回答に戸惑ったようだった。
 尋問が久しぶりのため、午後の作業は遅々として進まず、早めに帰ろうと考える。

 9月10日(木曜日) 午前中は、高裁の弁論(第1回)があり、終結する。受命裁判官による弁論準備が少し続いた後で第1回弁論期日が開かれたものである。破産管財人(当職)は、否認権の行使を追加的に加えたが、それが時期に遅れた攻撃防御方法ということで却下決定を受けた(口頭)。被控訴人は否認権の行使が新たな証拠調べを要するなど審理が遅れるということで却下を求めていたが、裁判所は、どうも控訴審の早い時期に否認権の行使ができたという理由のようである。、しかし、否認権行使は控訴理由書提出直後に追加したものであり、その後も主任裁判官の主宰で弁論準備をしていたので、納得できる理由ではないように思うが、実際の判決を見てからの話となろう。
 真面目に、交通事故の準備書面を作る。その後3時30分からは最高裁協議のバックアップ会議(いつものとおり2時間の電話会議)。電話の場合は、終わると本当に疲れる。今日は早く事務所を出ておしまい。

 9月11日(金曜日)午前中は、もう1件の準備書面(交通事故)を作る。来週月曜日のRC例会を欠席するのでメーキャップへ行く。その後、労働委員会へ。3件の会議をこなして終わる。
 実は、13日(日曜日)から2泊3日で台湾へ行き、14日(月曜日)に台湾南部(高雄)の労働委員会(無論、日本とは組織や制度が違う)に視察に行くことになっている。



投稿者 あさひ共同法律事務所

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