弁護士ブログ(日々の出来事)

2013年7月 2日 火曜日

ゲート・ハウス(続き)スーザンの信託財産

一昨日のこの欄で、ネルソン・デミルの「ゲート・ハウス」のことを書いたが、その中で、気が付いたことをいくつか書いてみたい。主人公ジョン・サッター(一人称小説なので語り手を兼ねる)の妻スーザンは、スタンホープ家の娘なのだが(ゲートハウスでは20代の子供二人の母親)、同人が受ける信託財産からの送金は年額25万ドル(約2500万円)でそれで生活している。そして、スタンホープ家は、スーザンの両親、弟の4人なのだが、弟はフロリダで遊びほうけているということであって、だれも積極的な事業を行っているのではなく、その財産をどうもすべて信託財産としてその運用を専門家に依頼して、そこからの収益で生活しているようである。4人で使っているので単純に考えても少なくとも年間100万ドル(約1億円)程度の収益を得ているようである。

 そうすると、元手となる財産がどのくらいかということが問題となるが、ジョンスーザンの貰っている25万ドルから推測して3千万ドル位だろうということだった(実際には1億ドルということである。)。仮に3千万ドルだとすると、5パーセントの収益が上がらないと配当金は出せないということになる。運用機関の報酬を考えると、年間10パーセント近い利益を出す必要があるということになる。

 日本では、そのような高利回りの金融商品は考えられない。アメリカの金融財産は、そうとうな運用実績を上げることが使命となっていることが示されている。このような資金が日本の株式市場に投資されたりしているということであろうか。
 もう一つは、スタンホープ家のような資産家も、家業として発展した事業は結局途中で手放し、その際に受けた資産を金融商品に変更して、結局、金融資産家として生きていくということになるということも、アメリカンドリームの帰着点なのかもしれない。



投稿者 あさひ共同法律事務所

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