弁護士ブログ(日々の出来事)

2013年5月15日 水曜日

労働委員会の研修で水町教授の講演を聞く(その1)

 私は、福岡県労働委員会公益委員に任命されているが、今日(15日)、明日(16日)と九州地区の労働委員会連絡協議会が佐賀市で開かれている。その中で、15日に東京都労働委員会公益委員で東大社研の水町教授の講演を聞く機会に恵まれた。

 題目は、「労働審判利用者調査結果分析(全国)から労働委員会の役割を考える」というものであり、東大社研が、2011年の4か月間に全国で裁判所で実際に行われた労働審判の利用者(当然労使双方である)を対象にアンケート調査を行った結果(対象事件は約1000件であり、このうち、労働者側の3割、使用者側2割弱から回答を貰ったというアンケートの結果を分析したものである(結果の全体は、有斐閣から、2013年3月に「労働審判制度の利用者調査―実証分析と提言」という書名で出版されているということである。)。
 
 労働審判については、年間約3500件、そのうち7割が解雇や雇止めに関する事件であり、その95パーセントが金銭支払の形で解決されているという統計的なことは私も知っていた。利用者の意識として、労働審判の「売り」であった「迅速性」については「満足」、「専門性」については概ね肯定的にとらえられている、「適性性」については労使とも「法的な権利義務」の重視を希望している(安易な利益調整を求めているわけではない)という意識のようである。
 
 解雇や雇止めの事例で支払われる金額の水準は、労働局紛争調整委員会のあっせんよりは高く(一番多い中央値で100万円給与額の3、4か月分)で、裁判上の和解(中央値300万円給与額の15、6か月分)、判決(勝訴した場合)(中央地610万円給与額33,7か月分)とは相当に異なる(解雇が無効の場合、紛争解決が遅れるほど、使用者は支払わなければならない未払給与が毎月分増えることになる。)。
 
 ただそれだけではなく、解雇が無効ということは会社の解雇行為が違法であるということなので、そのような違法であるという評価を労働審判の場で考慮する(その点を解決金の増額で考慮する必要があるのではないかということであった―裁判上の和解や判決の金額が高いのは、期間が長いだけでなく、その点も考慮されているのではないかというのが、教授の意見であった。(長くなるので、後半は明日に続けることにする。)。
 


投稿者 あさひ共同法律事務所

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