弁護士ブログ(日々の出来事)

2013年2月 3日 日曜日

陳述書の長さは10枚まで?

 先日、裁判官との会合で、民事裁判における「陳述書」がテーマとなった。法曹関係以外の方のために説明すると、「陳」も「述」も述べるという意味である。陳述書とは、要するに裁判所に対して言いたいことを書いている書面ということになる。

 何故それが問題となるのかという点は、裁判所に提出すること、すなわち、裁判のために、裁判で問題となっていることがらについて、裁判が始まった後に、裁判での証拠とすることを目的に、弁護士が係わって作られるものだからである。

 陳述書は、弁護士が関与して作られているので、裁判所には非常にわかりやすく作られているはずであり、その結果、書かれている内容が安易に信じられやすいという点が問題tとされている(弁護士が事実をねじ曲げている危険性があるということを弁護士がいうのは、一般の人にはわかりにくいかも知れないが、そのような危険性があるという認識は弁護士にほぼ共通の認識である。)。
 
 

 陳述書は、時間的な流れに従て書かれているので、背景事情や問題となっている点(裁判では「争点」といわれる。)について詳細に書かれているので、裁判所としては紛争のイメージは作りやすい。また、ほとんどの訴訟では、両方の当事者(原告、被告)と利害関係を持たない第三者というものは存在しないのので、実際に裁判所で証言をするのは当事者だけという場合が非常に多い。このため、当事者(原告、被告)がそれぞれ、自分の立場から見た事情について陳述書を書いて(弁護士と相談して)提出するという場合がほとんどである。
 

 裁判所は、尋問前に(少なくとも1週間程度前)双方から出された陳述書を熟読して尋問(当事者尋問)に臨むことになる。双方から陳述書が出されることから、弁護士も裁判所と同様に相手方の陳述書を熟読して、尋問に臨むことになる。陳述書があれば、主尋問(例えば原告の尋問の場合、原告の弁護士が原告に先に質問するが、そのことを主尋問という。)の時間を相当に節約できると考えられており、相手方弁護士の尋問(反対尋問という)の準備も、陳述書が事前に提出されていればできているので、すぐに反対尋問に入れることになって、裁判自体のスピードアップが図れるということになる。

 裁判官の中には、かつては陳述書があれば主尋問はほとんど不要だという意見もあったが、現在は、陳述書が弁護士の作文でなく、やはりその人が作成したものであるということを確認するためにも、20分から30分程度は主尋問を行うという運用がほとんどである(当事者が陳述書に書かれている重要な点について知らないと証言したことから、陳述書が信用できないということで裁判に負けたケースも有るということである。)。そのあと、相手方の反対尋問が少し長めの30分から40分程度行われるというのが通常のようである。

 そこで、冒頭で問題となった陳述書にはどの程度のことを書くのか、という点が話題となり、裁判官としては、背景事実や争点についてできるだけ詳しく書かれたものが欲しいということであった。そして、その量については、普通の事件で長くとも10枚程度(約1万字)では収まるのではないかということだった。

 その場にいた何人か弁護士の意見もほぼ同じだった。私の感覚でも、背景事実や争点について、事実関係を中心に書くなら、ほとんど事件では5枚から7枚くらいで終わるのではないかと思うところである。皆さんの参考になればと思い紹介する次第である。


投稿者 あさひ共同法律事務所

カテゴリ一覧

カレンダー

2018年8月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31