弁護士ブログ(日々の出来事)

2012年12月 3日 月曜日

錯誤の判例②(東京地裁平成24年7月26日)

 民法総則の教科書には、錯誤の例として、絵画が本物(真筆)でなかった場合がよく取上げられている。特定の作家んも真筆だと思って売買契約を結んだらその絵がその作家の真筆ではなかったという場合である。素人からすると、美術の教科書書に出てくるような著名な絵ならともかく、特定の作家の(若い頃の)真筆だといわれても本当かどうか分からないのが通常であろう。鑑定家に聞いてもはっきりしたことはわからないのではないかと思われる。当然ながら、裁判官に判断ができるとは思えない(むろん、特定の作家の真筆かどうかは、証拠によって明あKにすることができる事実であると考えられるので、裁判所の判断しなければならない事実である。)。
 そうすると、売買契約の錯誤を理由とする無効を主張し、売買代金の返還を求める訴訟では、錯誤を主張する場合に何を主張すべきかが、問題となる。結論から言えば、相手がそれが真筆だと主張する場合8要するに詐欺を否認する場合)、祭儀を理由とする不法行為(代金を騙し取られた)も、騙す意思があったかどうかは結構立証が難しいと思われる。そうすると、売主が画商などのプロの場合は、不法行為でも、説明義務違反あるいはそれが真筆だと思っている買主に対し、それが真筆であることを注意して引き渡す義務(取引上の信義則を根拠とする)があり、それに違反するという構成も可能なように思われる。この場合あh過失の場合でも責任を負うことになる。損害額については、特段の事情の無い限り支払った代金額となろう(過失相殺の点は考える必要があるかもしれないが、買主が、売主から真筆で無いかもしれないなどという説明を受けながら、購入したような場合に考えられる余地はあろう)。
 判例の紹介が、遅くなったが、東京地裁平成24年7月7日判決(判時報2162号86頁)は、古伊万里やルノワールなdの絵画を美術商から購入した者から美術商に対する売買代金等請求事件である。一般人が買主の場合、美術品の価値を判断するには、前所有者がどのような者であるか、入手経路がどのようなものであるかが重要である年、専門家である美術商は、それらの点についても正確に伝える義務があるとしている(つまり、真筆であるかどうかではなく、当該美術品が、美術界でどのように評価されているかについての情報を正確に伝える義務があgろちう構成である(この場合は、真筆かどうかの判断はいらないことになるようである。
 ただ、実際の売買は、相場の変動が大きいようであり、美術界の相場より下がっていてお買い得と言われて相当に安い価格での取引の場合はどうなるのか、主張事実が殿程度替わってくるのか、興味深いところである。(G)


投稿者 あさひ共同法律事務所

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