弁護士ブログ(日々の出来事)

2012年11月 7日 水曜日

アメリカ大統領選挙と首相公選制

 アメリカ大統領選挙は、オバマ現大統領が当選したようである。ところで、日本でも首相公選制が主張されている。首相の力を高めるというこtで、「維新の会」も維新八策に掲げている。
 首相公選制になったらどうなるのか想像してみる。日本国憲法では、内閣総理大臣を、国会で国会議員の中から指名し〔憲法67条1項)、衆議院で内閣不信任案が可決されたときは、内閣は総辞職するか10日以内に衆議院を解散しなければならない〔69条)。そして、衆議院の総選挙ガ行われた後に召集された国会の冒頭で内閣は総辞職しなけれbならないから,,内閣の誕生と苑消滅には衆議院での議決が必要となる。衆議院の解散は衆議院議員の全員の身分を失わせることなので、内閣と衆議院の力のバランスが取られていることになる。このように内閣(内閣総理大臣)は、衆議院の多数派の支持をその存続基盤とすることになっているが、首相公選制になると、国民から選挙で直接選ばれるということになる。そうなると首相の支持は国民全体ということになるから、衆議院の議決(内閣不信任の可決)で、辞職を求められることはないということになる。他方、衆議院も内閣から解散を求められることにはならない。結局、首相も衆議院議員も任期満了までその職にあることになる。そうすると、衆議院議員は、現在の参議院議員と同じようになり、結局参議院は廃止すべきだということになりそうである。そしてこのあたりは、現在の日本国憲法のかなりの部分を変更するということが必要になる。
 衆議院だけの1院制になり、衆議院の解散が無くなれば、国政選挙の数が激減しすることになり、首相と衆議院議員の任期をどう定めるかが大きな問題となりそうである(選挙のときにしか国民の意思を反映させることができなくなる。)。そして、議会の多数派と首相の属する政党が違った場合は大きな政治問題になるので、その調整をどうするのかが問題となる(首相を選ぶ選挙と衆議院選挙を同時に行えば、同じ政党が選挙で勝つ可能性は高くなって、政治的には安定するが、次の選挙のときまで、議会のチエック機能が働かない可能性が出てくる。)。また、首相が任期半ばで倒れたときにどうするのかも考えておかなければならない。
 相当に難しい問題になりそうである。、

投稿者 あさひ共同法律事務所

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