判例紹介

2013年2月10日 日曜日

敷引特約、更新料特約の最高裁判例の評釈(金融法務事情1963号

 金融法務事情1963号(2013年2月10日号)に、敷引特約、更新料特約と消費者契約法に関する最近の3つの判例(敷引特約について①最一小判平成23.3.24、②最三小判平成23.7.12、更新料について③最一小判平成23.7.15)が出されており、それぞれについて、佐久間毅教授が、「建物賃貸借契約における一時金支払の特約と消費者契約法」というテーマで、判例評釈を書かれておられる。内容については、佐久間教授の論文に直接当たられたい(長文であり、判例評釈というより論文である。)。

 私もこの3つの判例を読んでいてわからない点がいくつもあった。一つは、敷引特約が何かということが良くわからないという点である。①判例では、敷引特約が、通常損耗補修負担(経年劣化-畳や壁紙の焼けなど-通常生じるものについての修理)を賃借人に負担させる特約を意味すると理解されており(この点は原審で争いがないとされている)、そのことを前提に、①判例では、賃借人はこのような通常損耗補修の負担を負わないというのが原則なので、消費者を不利に扱うとされている(消費者法10条前段に該当する)が、②判例ではその点が明確にされていないという点である。

 退去時に敷金の一部を充当する(要するに賃借人に返さないということは、賃料以外に賃借人に負担させている金銭があるので、民法の定めとは異なる負担をさせている(民法601条の負担を超える特約)ということから消費者契約法10条前段に該当することを肯定するなど、はっきりしない言い方になっている(②判決の補足意見参照)。
 
 
 

 他方、更新料に関する③判決は、更新料に関する特約は、民法601条に定められた以外の定めであり、消費者を不利に扱うとしてあっさりと消費者契約法10条前段を肯定しているが、それについて色々な議論があることは周知のとおりである(ここは、冒頭規定の意味や特約の位置づけなど法曹専門家で議論されている問題なので、詳細は省略)。そして、③判例も更新料の意味につき、賃料の補充ないし前払い、契約継続のための対価など複合的な内容を持つとしている。

 3つの判決は、いずれも、最終的には、このような特約は、それぞれの具体的内容から、消費者の利益を「一方的に害するものではない」として、それぞれの特約を有効なものとしている。

 佐久間教授は、論文の表題を、、「建物賃貸借契約における一時金支払の特約と消費者契約法」としていることから分かるように、建物賃貸借にかかる問題であり、賃貸借にかかる色々な金銭のj授受につき、全体を統一的に理解すべきであるという立場から書かれているように思う。
 ぜひとも論文に直接当たられたい。


投稿者 あさひ共同法律事務所

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