2018年4月14日 土曜日

今週の1週間(4月9日から13日)

 4月9日(月曜日)今日は、朝の飛行機で東京へ。日弁連の民事司法改革推進総合本部の会合。本会議の前にその中の証拠収集部会に出る。9月4日の証拠収集に関するシンポジウムの準備会となる。パネリストとしてご出席をお願いした元高裁長官にもご出席いただく。弁護士会の準備会での議論、弁護士会照会、当事者照会、文書送付嘱託、調査嘱託、文書提出命令などに関する議論で、特に文書提出命令に関しては、どうしても裁判所に対する不満を言うということになるので、元高裁長官には、パネリストとしてご出席を了解されたものの、どうなるのかご心配をされているのではないかと思う。
 個人的には、これまでも色々なところで検討されているように、裁判所による証拠調べ手続きという感覚から、当事者による証拠収集手段という方向への議論ということにしたいと思っている。飛行機の中での思いつきだが、刑事訴訟法では、「証拠法」や「公判法」の他に「捜査法」という立派な証拠収集に関する法体系が存在する。無論刑事訴訟法は、捜査機関に対して、強制的な証拠収集方法(身柄に関する逮捕・勾留、物に対する捜索差押)についての詳細な規定を設けている。捜査をどのように位置づけるかは、議論のあるところだが、刑事訴訟を当事者主義的にとらえれば、強力ではあるが一方当事者と位置付けられる捜査機関及び検察官に、令状主義(事件単位説)に基づく権限を与えるとともにこれを規制するという捜査法という法体系が存在することになる。そうすると、刑事訴訟法にならい、民事訴訟でも、同様に「証拠収集法体系」という発想があっても良いのではないかというものである。
 この点を考えたのは、文書提出命令の判断に際して裁判所が訴訟審理における「必要性」(それが証拠として必要かどうか)が要件とされており、その点は当該裁判所の判断であるとされている(抗告理由とならない)。ただ、それを証拠収集に関するものととらえた場合、当該事件の判断に際しての必要性ではなく、事件との関連性(刑事訴訟での捜索・差押では、場所や物の特定と令状主義の観点からの事件との「関連性」といった要件にとどまることが許されるのではないかと考えることも可能かと思う。文書提出命令と捜索・差押を比較した場合の相違点で問題となるのは、捜索・差押を受けた者の権利の保護の点であろう。業務上の秘密やプライバシーの保護がどのようにされるのかという問題である(内部文書性は、別の保護されるべき考慮要素となる)。この点は、捜査機関の場合は、基本的に公務員の守秘義務などでカバーされていると考えるとなると、民事訴訟でもその手当てを考えればすれば、一般的な証拠収集法体系というものが考えられないであろうか。
 部会では、証明責任についてどう考えるかも議論された(先日のライブ研修では、立証が尽きた場合に裁判所が考えることであり、訴訟の進行時にはその意識はない(証拠は近い方当事者が出してくれれば良い)という考え方が現時点では主流なのかどうかも議論となった)。元研修所民事弁護教官の認識では、研修所でそのように教えているかどうかは必ずしもはっきりしないようである。
その後、全体会議に出る。3月末に内閣府での検討会の結論が出された民事訴訟のIT化の話がでる。日弁連としてどのように対応するのか、これからの議論となる。

 4月10日(火曜日)ほぼ一日、事務所での作業。時間があったので、文書提出命令に関する文献を読む(昨年出版された注釈民事訴訟法)。三木教授の注釈が50P位あり、読み応えがある。もう一度、最高裁裁判例を読んだところで、今日はお終いとなる。

 4月11日(水曜日)今日は、10年前の民事訴訟法改正10年の時点で色々と特集を組まれていたところのジュリストや判例タイムズなどの文献を読んでみる(今週までは裁判もあまりなく比較的余裕がある。)。やはり、証拠収集制度の拡充は改正された民事訴訟法の大きな目玉になっていたことを再認識させられた。昼食時には本年度最初の福岡県弁護士会民事手続委員会に出席する。その後は、午前中の続き。夜は、先週の土曜日に選任された刑事事件(被疑者国選事件)での接見に行く。
 

 
 


投稿者 あさひ共同法律事務所