2014年2月 5日 水曜日

労働委員会のこと

 私は、福岡県労働委員会の公益委員を務めている。少し、労働委員会のことを書きたい。 

 労働委員会は、各都道府県にそれぞれ地方労働委員会があり、中央に中央労働委員会がある。
各県の労働委員会は、多少違うものの、労使間の紛争(紛争前の段階も含む)について、労使間もあっせんするという機能と審査事件といわれるもので、組合から使用者のある行為について、それが不当労働行為に該当するかどうかを判断し、不当労働行為があると認定できる場合は、使用者に対し、命令を下す(その行為が不当労働行為でないと判断する場合は組合の申立てを棄却する。

 労働委員会は、公労使という3者構成になっている。労働者側委員と使用者側委員それに中立t的立場に立つ公益委員の三者がそれぞれかんよすることになる。労働者委員は組合出身者、使用者委員は会社の労務担当出身者が多く、公益委員は労働法などの大学の先生と弁護士などからなっている。福岡県ではそれぞれ7名ずつとなっている。

 審査事件は、裁判と似ている。公益委員が最終的な判断を下すが、労使双方の委員が参与委員として審理に参加する。事実関係について認定し判断するという点が似ているのであて、労働委員会の判断は、準司法判断といわれる(ADRともいわれる。)

 このため、事件の当事者双方が、事実関係についての主張や証拠を出す。そこで、争点整理といった民事訴訟と同じような手続も存在する。そうなると、公益委員は裁判官と同じようなことをすることになる。ということで、私も公益委員として裁判官と同じようなことをすることになるが、結構難しい。

 というのは、争点整理は、争点についての双方の主張する事実関係の中で合致するkとで争いのなくなった事実とそうでない事実とを選別することはともかくも、争点と証拠との関係が理解しにくい場合には、その点を尋ね、議論をすることになるが、その際にこちらの心証を開示することになる場合がある。このため、公平性に疑問をもたえないかという点である。組合と企業という対立が先鋭化しやすい場面なのでどの程度踏み込むかはかなり難しい。

 それでも、無駄な人調べをせず、不意打ち的な判断をしないという観点からは、ある程度突っ込んだ争点整理をしなければならないと思う。 


投稿者 あさひ共同法律事務所