2012年11月18日 日曜日

最近の判例から①(土壌汚染の瑕疵担保責任)

 最新の判例時報2161号69p頁(平成24年11月11日号)に土地売買における土壌汚染に関する特約についての裁判例が紹介されていた(東京地裁平成23年7月11日判決)。「土地土壌調査の結果、環境省の環境基準及び自治体の指導基準を上回る土壌汚染があった場合は、売主が土壌改良もしくは除去の費用を負担する」旨の特約(以下「本件特約」といいます。)に関する事実認定の事例判決である。
 土地の売買(青森県の味噌工場の敷地)を売買価格41億円で取得した買主(不動産業者)が、その土地に一部につき、砒素及びその化合物が環境基準を上回る数値が検出されたとして、売主(食品会社)に対し、汚染除去費用約2億4000万円を請求したところ、被告(売主)は、本件特約は、「環境省の環境基準及び自治体に指導基準があるときはその基準」を上回る土壌汚染があったときとしており、環境基本法や土壌汚染対策法法における「土壌汚染」と同じ意味であり、その場合の「土壌汚染」の意味は、「事業活動その他の人の活動に伴って生じる相当範囲にわたる土壌の汚染」の意味であるとし、当該砒素汚染は、自然由来のものであると主張した。裁判所は、この被告の主張を認めたというものである。買主が不動産業者であること(土壌汚染がある場合の契約上の処理につき相応の知識があるということか、土壌汚染がある場合、除去に巨額の費用を要する場合があることも知っており、自然的原因由来の場合について売主に除去費用を負担させるのであればその点を明示すべきであるが、そうしていないこと)、などの評価から、本件特約につき、文言上の明示はないものの、環境省などの判断基準によると解するべきであうrとしたものである。
 
 
このような事件を受任したらどうするのか、行政解釈などを知らないと、相当に困ることになりそうである。(G)

投稿者 あさひ共同法律事務所